特集【抗糖化】 AGEsの阻害・分解に加え、アルデヒドトラップ作用にも脚光
糖化は、タンパクと糖が結合して起きるメイラード反応。糖化によって生成されるのが終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End Products)と呼ばれる数十種類の化合物群で、AGEsには、蛍光性・褐色変化・タンパク同士の架橋形成などの特性があり、この特性が様々な病的老化を促進することがわかっている。AGEsは皮膚や血中、骨中、脳、毛髪にも影響を及ぼし、動脈硬化や糖尿病性血管障害、骨粗鬆症、網膜症・腎症などの糖尿病合併症リスクの増加にも繋がるとして、生活習慣病対策や健康長寿実現の観点からも糖化対策は非常に重要なポジションに位置付けられている。
また、AGEsはアルコールや脂質代謝物のアルデヒドからも生成されることがわかっており、近年その研究が進む。糖化研究の第一人者、同志社大学生命医科学部 糖化ストレス研究センター 客員教授の八木雅之氏は、「糖化ストレスは還元糖やアルデヒド負荷による生体へストレスとその後の反応による負の影響を総合的に捉えた概念」と説明。なかでもアルデヒドについては、それ自身が血管内皮細胞のアポトーシスを誘導すると同時にAGEs生成の前駆体(中間体)となり、糖化を進める要因のひとつであることがわかっていると指摘する。
食後に血糖値が急激に上昇する現象を指す「血糖値スパイク」は、糖化ストレスにおける重要なテーマの一つだが、血糖値が急上昇すると体内で糖化反応が活性化され、その過程においてメチルグリオキサール(MGO)などのアルデヒド類が生成される。アルデヒドは反応性が高く、周囲の物質と連鎖反応的に、また同時多発的に多種類のアルデヒドを生成する「アルデヒドスパーク」状態になるという。これらのアルデヒドに対し、化学的に無害化することが糖化対策には重要で、これをアルデヒドトラップと呼ぶ。現在同氏が手掛けている研究によると、アミノ酸にアルデヒドトラップ作用が認められたとしており、今後新たな糖化対策素材のキーワードになり得るとして期待が寄せられている。つづく
詳しくは健康産業新聞1823号(2025.11.5)で
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