連載【新・EC戦略】台湾越境EC編① ニッチな商品でも勝負できる
今号より健食・化粧品のECトレンドについて連載を開始する。第1回目は、アジアンブリッジ㈱(東京都千代田区、台湾法人:台北市)の阪根嘉苗社長に越境ECの極意について聞く。「ブランドの国境を越えた流通の最大化に貢献する」を経営理念に台湾で日本の健食や化粧品の販売支援を行っている。越境ECサポート事業では日系企業を1年で売上10億円以上に成長させた例も少なくない。
――台湾の健康食品の状況は
阪根氏:台湾の健康食品市場は5,000億円程で、毎年10%程拡大しています。ビタミン類などの基礎的栄養成分のサプリメントが最も人気で、次いで乳酸菌、ルテイン、DHAと続きます。ルテインは知名度が高くアイケア製品の市場が大きいのが特徴です。健康食品のブランドは、白蘭氏という誰もが知っている会社の製品が支持されており、ビタミンサプリ他、チキンスープなどが人気です。トレンドは、液体タイプのパッケージが主流です。つまり、定番成分のサプリはナショナルブランドが強く、他国ブランドのシェア獲得は難しいのが現状です。
――日本製品の状況は
阪根氏:輸入品が4割近くあると言われている台湾の健康食品市場では、日本の製品はとても人気があります。特にサントリーウエルネスの製品は一大ブランドを築いていますが、一定の知名度を獲得した製品は、並行輸入やコピー品も多く出回っています。一方で、台湾で越境ECを行う 9割の日系企業が、年商1,000万円も売れていないのは、台湾やその他東南アジアは、日本ほどEC化率が高くなく、通販はコピー品が多いため、日本の高額品は苦戦を強いられます。戦略としてはニッチな商品を狙う方が、勝負しやすいと言えます。さらに、ECだけではなく、実店舗でも販売できるように、一般貿易も駆使して、ネットとリアルで同時に販売することが、越境ECでの差別化に繋がります。
―― 越境ECの成功方法
阪根氏:日本の人気製品だけが海外で成功しているわけではありません。当社が支援する日系企業の中で、日本では販売していない商品をゼロから台湾用に開発し、先行販売を開始しました。多チャネル展開が功を奏し、台湾では爆発的ヒットとなり、年間数億円の売り上げとなりました。現在では日本に訪れる台湾人が、ドラッグストアで同品をまとめ買いするなど、インバウンドの人気製品になっています。ライブコマースやデジタルマーケティング、リアル店舗を含めた多チャネル展開を活用し、毎月1億円以上売れるニッチ商品も増えています。つづく
詳しくは健康産業新聞1823号(2025.11.5)で
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