特集【環境配慮型包装・パッケージ】 環境配慮+αが必須に
欧州政府は2025年2月、「包装および包装廃棄物規則(PPWR)」を発効した。2030年までに全ての包装を「経済的に実行可能な方法で、再利用またはリサイクル可能にする」目標が立てられ、製品の包装・パッケージのリサイクル、リユースが義務付けられる。日本企業もEU輸出の際には、法令を遵守する必要があり、EUの規制に合わせたパッケージの利用も増えていくことが予想される。日本では、2022年に「プラスチックに係る資源循環の促進法に関する法律」が施行され、2030年までに「使い捨てプラスチック排出を25%削減」を掲げる。以来、日本の製造メーカーや包装・容器メーカーの環境対応の認識が高まり、環境配慮型パッケージの利用は、ニーズが高まっている。
化粧品業界では、資生堂、ポーラ、コーセー、花王の4社が、毎年「サステナビリティレポート」を発表。4社とも、サステナブル容器への切り替え・4R(Reduce/Reuse/Recycle/Renewable)を推進。各社、対応率は30~70%台とばらつきはあるが、2030年までには100%を目指す。コーセーは、30年以上前に、環境配慮を取り入れたスキンケアブランド『AWAKE』を展開。詰め替え型のレフィル容器を取り入れ、リサイクル容易なアルミボトルを採用。これをきっかけに、環境配慮型容器の活用が広まったという。店頭での容器回収も行っており、一般消費者への環境配慮の意識付けにも繋げている。2019年に官民で設立した「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス」は、「2050年までに容器包装のプラスチック製品を100%リサイクルすること等を目指す」と宣言。加入企業は、化粧品から食品・健食企業まで幅広く、その1社であるファンケルは、4Rを2030年までに100%を目指すと発表している。
消費者の意識も高まっている。消費者庁が2024年11月に発表した男女5,000人を対象にした「エシカル消費の認知度」は27.4%となり、前年の29.3%から減少したものの、2022年の26.9%、2021年の12.2%と比較しても認知度は高まっている。また、「エシカル消費を実施している」と回答した人は、36.1%で、前年の27.3%から上昇傾向に。エシカル消費を実践する理由では、「環境や社会に貢献できるものを選びたい」と回答した人が53.3%と最も多かった。データコムが今年3月に発表した「20~60代男女の消費行動にまつわる環境意識調査」では、「環境問題に働きかける企業の商品を利用したいか」との質問に対しても、「とても思う・思う」と回答した割合は69.6%と、7割近くになった。商品購入の際のパッケージが環境配慮型かどうかも判断材料の一つになっているようだ。
パッケージメーカーは、 環境対応素材の開発、多様な技術とアイデアでパッケージ提案を行っている。市場では、バイオマス原料や再生プラスチックを活用したパッケージ開発が進んでいる。主な原料は、サトウキビ、トウモロコシ、卵の殻など燃焼時のCO2を大幅に削減し、従来の石油由来プラスチックと同程度の品質を保てる素材が利用されている。近年では、デザイン性や意匠性も求められているという。グラセルとツバキスタイルによるジョイントベンチャーBEAUTYCLEは、佐賀県の化粧品容器専用工場でリサイクルと製造双方を行う。同時に、「生産ロスZERO」プロジェクトを立ち上げアートネーチャーやI-neほか大手販売店も賛同しリサイクルプロジェクトが進んでいる。クラウン・パッケージは、ブルーベリーやお茶などの食品残渣を配合したリサイクル紙を開発し、健食や化粧品向けのパッケージに採用されている。また、パーム油製造後に出る繊維で紙代替素材を開発し、食品から化粧品向けパッケー ジに引き合いが増えているという。宮本は、廃棄していたプラスチック容器を再利用してあえて黒い点が残る「黒点付き容器」を化粧品メーカー向けに提案するなど積極的な環境配慮体制を敷く。つづく
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