特集【南米発・機能性素材】 マカ筆頭に南米素材が身近に

 南米原産の機能性素材が広く利用されるきっかけの1つとなったのが2010年前後に米国で起きたスーパーフードの大ブーム。数年後に日本市場でも火が付き、アサイーやチアシードがブレイク。その後、様々な南米発のスーパーフード素材が脚光を浴びるようになった。さらに、原料サプライヤーによる安全性・有効性に関するエビデンスデータの蓄積が進み、ブームで収束することなく、健康食品、一般食品への利用に拍車が掛かった。近年は、メキシコ料理やペルー料理などを提供するレストランも増えており、南米食材への関心が高まり、ユーザーの裾野も広がっている。

 

 マカは、国内に紹介されて以降、30年近く経つ南米原産の代表的な機能性素材。主な原料サプライヤーは、TOWA CORPORATION、ラティーナ、サンシントレーディング、光健、皇漢薬品研究所など。各社では、マカ粉末、マカエキス末をはじめ、有機マカ、発酵黒マカ、マカペースト、黒マカ、赤マカなどを取り扱う。活力系素材として認知度の高いマカは飲料、サプリメントを中心に、健康食品の定番アイテムになっている。また、「活力+肉体美」を訴求した商品や、男性の妊活サポート向けの商品が増え、若い男性の獲得にも繋がっている。

 

 一方、ここ数年は女性のホルモンバランス調整作用、更年期症状の改善、美容効果、睡眠障害の改善作用など、原料サプライヤーなどによる機能性研究が進展。女性特有の悩みを解決するフェムケア素材としての利用も進む。各社からは、「マカは認知度が高く、女性向けのエビデンスを紹介すると反応が良い」「フェムケアの新商品に採用された」などのコメントが聞かれ、マカ供給量の底上げに繋がっている様子がうかがえた。フェムケア素材では、オリザ油化が『アグアヘエキス』を供給。日本人女性を対象に実施した臨床データなどのエビデンスをもとに提案を進めている。ラティーナでは、女性ホルモンに働きかけるブラジル産パフィアを取り扱う。

 

 昨年から動きが活発なのがアサイー。インフルエンサーによる色鮮やかなアサイーボウルの紹介などがSNSを介してZ世代中心に広がり、ブームが再燃。置き換え食としてダイエットサポート品としても人気に。都内で中南米の輸入食材などを取り扱う「南米市場キョウダイマーケット」では、「冷凍ピューレは入荷してもすぐに売れ、品薄状態が続いた。今夏も去年ほどではないものの、飲料、冷凍ピューレは売れ筋で再ブームから定番アイテムになっている」と話す。ビタミンCを豊富に含むカムカム、アセロラは、免疫意識の高まりに加え、安全・安心志向が強くなる中、天然ビタミンC原料としてニーズが高まっている。カムカムは、サンシントレーディング、ラティーナ、アマゾンカムカムなどが供給。アセロラは、マリーンバイオがブラジル産の原料供給を手掛ける。

 

 機能性表示食品では新たに、マカエキス(TOWA CORPORATION/届出番号:J958)が睡眠領域で、マテ葉由来クロロゲン酸類(常磐植物化学研究所/届出番号:J859)が抗肥満領域でそれぞれ受理された。このほか、各社の取材では、届出を進めている事業者も。エビデンスデータが進む南米原産の機能性素材が、今後も活躍の場を広げそうだ。つづく

 

 

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