栄養機能食品、栄養成分の機能表示見直しへ
消費者庁は、「栄養機能食品」の表示や基準値の見直し作業に着手した。10月8日に「栄養機能食品に関する検討会」(座長:東京大学名誉教授・佐々木敏氏)の初会合を開催。「下限値・上限値」「栄養成分の機能」「摂取をする上での注意事項」の3点について議論する。機能表示の見直しは、栄養機能食品制度の創設以降、初になるとしている。検討を経て、2026年度末までに「食品表示基準」の一部改正を行う予定。
栄養機能食品制度は2001年4月に創設、ミネラル2成分、ビタミン12成分でスタート。その後6成分が追加され、現在、ビタミン13成分、ミネラル6成分、脂肪酸1成分(n-3系脂肪酸)の計20成分について、栄養成分を一定の基準量含んでいれば、栄養成分の機能を表示できる。成分の追加や上下限値の見直しは行われてきたが、栄養成分の機能表示、摂取上の注意事項の文言は見直しが行われてこなかった。特に機能表示に関しては、食事摂取基準の前身である「栄養所要量」2000年版に基づいており、現行の食事摂取基準に記載されたエビデンスとの乖離が生じていた。
こうした状況を踏まえ、必要な見直しを議論する検討会を発足。今年度は3回程度開催し、「下限値・上限値」と「栄養成分の機能」について議論する。来年度は「摂取をする上での注意事項」を取り上げ、検討終了後、食品表示基準を改正する。検討会構成員は9人で、学識者や消費者団体のほか、健康食品産業協議会、食品産業センターなどが参加する。初会合では消費者庁が、「下限値・上限値」の改正案を提示。下限値は、これまでと同様、栄養表示の基準となる「栄養素等表示基準値」の30%で算出した。
今年3月に改正された「栄養素等表示基準値」に基づき数値が変わるのは、亜鉛、カルシウム、鉄、銅、パントテン酸、ビタミンB1・B12・D・Eの9成分。ビタミンDは1.65μgから2.70μgに引き上げられる。上限値については、医薬部外品1日最大分量を採用するカルシウムや鉄、ビタミンAなど14成分は、現行から変更なしとする案を示した。一方、医薬部外品1日最大分量やNOAEL(健康障害非発現量)、UL(耐容上限量)が設定されていない成分の内、n-3系脂肪酸、カリウム、ビタミンKは、これまで同様、「栄養素等表示基準値」を上限値に。マグネシウムも今回から「栄養素等表示基準値」を採用、現行の300mgから320mgとした。亜鉛と銅に関しては、ULと日本人の摂取量を踏まえた設定根拠に基づき算出した。この結果、上限値が変更となるものとして亜鉛、銅、マグネシウムの3成分を示した。つづく
詳しくは健康産業新聞1822号(2025.10.15)で
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