特集【奈良県】 新たな産業施策の推進で、”奈良力”最大化へ

 奈良県は2月、県内企業をもとに構築した『産業政策のパッケージ2025』を公表し、新たな施策展開に力を入れている。従来推進してきた『漢方のメッカ推進プロジェクト』は、昨年度より『奈良県漢方推進協議会』に名称を改め、今後は、漢方ゆかりの地である古都としての地盤を活かし、産業ポテンシャルを最大化するため、海外展開やスタートアップ、人材確保など新たな支援策を推進していく。海外展開では、県と地域産業振興センター、ジェトロ奈良等でサポートネットワークを形成し、セミナーや勉強会を通じて、海外販路拡大を狙う県内事業者を支援。越境ECモールや海外大手モールへの出品代行や、アカウント作成、国際配送などを伴走支援で後押ししていく。また、SDGs企業認証制度も創設、今後、認証企業のPRや資金支援などを行っていく。

 

 健康産業で活躍する事業者は、古都でビジネスを展開する難しさを抱えながらも、近年の高齢化や医療費削減に寄与する予防医学について、地場産業である漢方や配置薬業のノウハウを健康食品の開発に応用し、新たな商品・サービスの創出に取り組んでいる。主な事業者は、ドリンク剤OEM国内トップメーカーである大同薬品工業をはじめ、医薬から健食まで幅広く対応する田村薬品工業や金陽製薬、配置薬で創業し、「高濃度」「小ロット」の健康・美容ドリンク受託を得意とする米田兄弟社、“飲み切り”タイプの新たな剤形として健康・美容ドリンクやコスメなど幅広いブロー充填受託を手掛ける摂津樹脂工業など、特にドリンク剤に強みを発揮する受託メーカーが多く活躍している。また、地場産業である医薬品製造技術をバックボーンとして活躍する事業者には、ハードカプセル製造のリーディングカンパニーとしてハードカプセルの品質向上や機能拡大を推進するクオリカプスをはじめ、佐藤薬品工業のグループ企業として様々な原料・受託情報に精通するファブレスメーカーの佐藤物産などが活躍している。

 

 奈良県の重点作物のひとつである大和トウキについては、専用の総合情報サイト「大和トウキ総合PRサイト」で情報を発信。サイトでは、“根は薬、葉は食す”をテーマに、生葉の薬膳料理や、乾燥葉の健康茶などさまざまな情報発信と共に、大和トウキを活用した商品も随時追加掲載している。配合ドリンクには、田村薬品工業の『ONSAI温彩』や、金陽製薬の『Angelica』シリーズなどがある。県内での認知度は高く、県主催販売会の定番アイテムだ。金陽製薬の『Angelica』シリーズについては、伝統の大和トウキを活用し、近年トレンドとなっている「インナービューティー」と「睡眠サポート」を訴求したドリンクを提案、県外での認知度アップに力を入れている。つづく

 

 

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