特集【毛髪・頭皮ケア】 今年上期のへアケア化粧品市場 17%増
本紙が毎年上半期(6月)と下半期(12月)に実施している化粧品受託メーカーへの調査(有効回答110社超)では、人気受注アイテムは、ここ数年、ヘアケアがトップを維持している。実際、経済産業省の生産動態統計調査でも2024年通期(1~12月)の「頭髪用化粧品」の国内出荷金額は、前年比1.4%増の3,692億6,705万円となった。2025年上半期も前年同期比17.2%と好調を維持している。ヘアケア化粧品が好調の背景には、コロナ禍で緊急事態宣言に伴うステイホームの状況が長く続く中、自宅でスキンケアやヘアケアにお金を掛けるおこもり美容が流行。中高価格帯のシャンプー・トリートメントや、入浴後に使用するヘアミストやヘアオイルなどのアウトバス製品の人気が高まったことが大きい。
コロナ禍が長く続いたことで、人々のライフスタイルが大きく変わり、コロナ収束後も、中高価格帯のシャンプー・トリートメント、アウトバス製品の人気は維持しているのが現状だ。またシャンプー・トリートメントの単価が上がったことで、クリームシャンプーや固形シャンプー、ドライシャンプーなど、高付加価値製品の開発も活発化。今回の取材でも、近代化学やテクノビューティーサプライ、ランインターナショナル、山田製薬などヘアケア製品を得意とする受託メーカーには、様々な業界からOEM依頼が増えていることがうかがえた。山田製薬によると、中高価格帯シャンプーの火付け役となったI-neの『BOTANIST』 は、2015年 の発売以来、今でも安定した受注を得ているという。国産固形シャンプーなどの受託製造を展開するテクノビューティーサプライでは、SDGs対策として、1品ラインアップに加えたいと、大手ブランドからの引き合いが多いという。こうした中、資生堂が今年9月、ハイエンドなヘアケアニーズを受け、高級ヘアケアブランド『サブリミック』から、ハイエンド層をターゲットに、500mLで1万円近い価格帯のシャンプーを投入すると発表。今後の動向に注目が集まる。
育毛剤のニーズも高まっている。厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によると2023年の「育毛液剤」の国内生産金額は822億円と前年の795億から27億円伸びている。近年は、薄毛サポートに対するニーズが中高年だけでなく、若年層にまで広がっている。ヘアケアメーカーのエムボックスが2025年1月に「AGAに関する実態調査2025」を公表。調査では1万2,783人のユーザーに薄毛に関するアンケートを行った結果、10~20代の男性の4割が薄毛に悩んでいることがわかった。また、「薄毛男性の半数以上が「時間」と「費用」の問題でクリニックは受診したくない」と答えたという。AGAクリニックは、ここ数年、増加傾向にあり、オンラインクリニックも増える一方、経済的な面からホームケアを選択する人も多い。育毛剤の市場では、ファーマフーズの『ニューモ』、ソーシャルテックの『CHAP UP』をはじめ、Nileの『育毛剤 男性スカルプヘアローション』などが上位製品として若年層に支持されている。
毛髪・頭皮ケアに有用な成分を配合したサプリメントにも注目が集まっている。インナーケア向けには、藻類、有機エンドウ豆、ケラチン、ヒハツ、水素、アガリクス、ヒシエキスなど天然由来原料の活用が進む。新しいエビデンスでは、三菱商事ライフサイエンスが、NMNの経口摂取が中高年女性の毛髪の成長促進や抜け毛軽減の有意差があるとして抗加齢医学会で発表。ファーストでは体内の酸化が毛母細胞に影響を与えるとのデータから、水素サプリメントを用いた抗酸化育毛メソッドを確立、クリニックなどへの採用も始まっている。つづく
詳しくは健康産業新聞1820号(2025.9.17)で
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