特集【快眠サポート】 機能性表示食品が市場を牽引
厚生労働省は2024年2月、「睡眠指針2014」を10年ぶりに改訂し、国民の健康づくりのために睡眠・休養の普及啓発を努めると発表した。寝具メーカーの西川と調査会社のクロスマーケティングが今年9月に発表した「睡眠白書2025」によると、調査対象者1万人の内、睡眠に対して「満足している」と答えた人は35.3%となり、前年の34.5%より0.8%改善した。睡眠の質に満足している人の割合も34.7%と前年より0.2ポイント増加。僅かだが、国民の睡眠への満足度は上昇傾向と言える。また、「睡眠の質を高めるために新しく購入・取り入れたもの」として、「枕」(39.4%)、「マットレス」(23.1%)の回答が上位を占めたほか、サプリメント、機能性表示食品、飲料を合わせると17.7%となり、前回調査より増えている。睡眠の質を高める目的で食品を摂取する人が一定数いることがわかった。
本紙が快眠サプリメントを販売する主要メーカー 14社にアンケートおよび聞き取り調査を行ったところ、8社が2024年の売上が昨対比を越え業績は良かったと回答した。また、2025年度は快眠サプリメントの売行きが良くなると回答した企業は9割近くに上った。原料サプライヤーや受託企業からは、「睡眠サプリは店舗に置いておくだけでは売れない」などの声がある一方、「昨年まで動きが鈍かったが今年に入って睡眠関連の原料の引き合いが増えた」「医療機関から注文が増えた」などの声が聞かれた。富士経済によると、睡眠市場は、寝具やスリープテックなどのシステムを含めると、2,100億円市場と言われ、今後も増加することが見込まれている。インテージの調査によると、2024年の睡眠の質向上を訴求する健康食品の市場規模は209億円で全体の約1割にとどまっており、上記の睡眠ニーズを踏まえるとさらなる潜在市場があると言えそうだ。
睡眠は美容、健康寿命にも直結することから、原料メーカー各社によるエビデンス研究や製品開発が続く。なかでも、機能性食品対応原料の開発は活発化しており、睡眠領域の受理数は959件で、昨年の750件から27%増加している。ヘルスクレームも「睡眠の質を改善」を基本に、「目覚めのすっきり感」「眠りの深さ」「起床時の疲労感軽減」など枝葉が広がっている。機能性関与成分はGABAが432件と最も多く、ラフマ136件、L-テアニン94件と続く。また、乳酸菌もヤクルト1000やプラズマ乳酸菌などを中心に61件と追い上げる。GABAは、野菜や発酵食品に含まれているアミノ酸の一種で各社、国産素材、発酵食品由来、複数のヘルスクレームを謳えるなど差別化した原料提案を行う。また、様々な剤型に配合でき配合量も100mgが定番化していることから扱いやすい原料として浸透している。主なサプライヤーはファーマフーズや三和酒類、ファイン、ヤマモリなど複数社が機能性を競う。L-テアニンやラフマのサプライヤーは限られており特にラフマはここ数年、サプライヤーの常磐植物化学研究所が独自のエビデンスを蓄積し、睡眠に特化した機能性表示食品対応原料として盤石な体制を築いている。沖縄特産のクワンソウや水素など新規成分の機能性表示食品も広がっている。つづく
詳しくは健康産業新聞1820号(2025.9.17)で
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