特集【大阪府~健康・美容産業~】 健康・医療・ライフサイエンスを産業集積

 今年4月13日に開幕した日本国際博覧会(大阪・関西万博)も残すところ、残り1ヵ月を切った。「工事が間に合うのか」「来場者が来るのか」など、事前の心配事は杞憂に終わり、蓋を開けてみれば8月には入場券販売が黒字化の目安を超え、来場客数も9月10日現在で約2,070万人。万博による経済効果は約3兆円と言われ、大阪を中心に関西エリアには大きな経済効果をもたらしている。「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」では、健康産業界への貢献度も高い大阪大学教授の森下竜一氏が総合プロデューサーを務め、大阪府が成長戦略に掲げる健康・医療・ライフサイエンスの集大成を垣間見ることができる。出展企業からは、「日本のヘルスケア技術・サービス・製品が高く評価された」「当社製品は連日、来場客が行列を作るほど盛況だった」など、明るいコメントが聞かれた。

 

 大阪・関西万博のテーマがヘルスケアになるほど、大阪府と医療・健康産業の繋がりは深い。「くすりの町」として400年以上に亘り発展してきた大阪市内の道修町界隈には、現在でも多くの大手製薬メーカーが本社を構える。また、健康・美容産業界で全国的にメジャーな企業も多く、健康食品・化粧品の原料サプライヤーでは、岩瀬コスファ、日本粉末薬品、ダイセル、日本生物.科学研究所などが代表格。健食メーカーでは、三基商事、田村薬品工業、大和酵素、井藤漢方製薬、小林製薬、森下仁丹、ファインなどが本社を構える。化粧品メーカーでは、マンダム、サンスター、ロート製薬、I-neをはじめ、TOAを筆頭に東洋ビューティ、ミリオナ化粧品など、受託業界の大手・有力企業が多いのも特長だ。さらに、日本トリム、トラストレックス、アクアバンクをはじめ、あっと、山本化学工業など、家庭用医療機器や健康機器分野の大手・有力メーカーが多いのも大阪府の特長だ。ヘルスケア分野のエビデンス取得を支援する総合医科学研究所やワンネスサポート、たしかにプラスなどのCRO系企業も数多く存在。各社ユニークな素材・商材、独自技術等を武器に、成長を遂げている。

 

 大阪府では、「彩都ライフサイエン スパーク」における関連産業の集積、「北大阪健康医療都市」における健康・医療クラスターの形成、中之島4丁目において、再生医療をベースに、「未来医療国際拠点」の形成に向けた取り組みの一環として、2024年6月にはNakanoshima Qrossを オープンさせるなど、医療・健康・ライフサイエンス分野の先端研究機関を数多く集積している。大阪府が2024年に発表したコロナ後の再生・成長に向けた新戦略の中でも、健康・医療産業のリーディング化を掲げている。特に全国シェアの高い医薬品や医療機器をはじめ、健康産業分野では、栄養補助食品の出荷額と産出事業所数の増加に注目、さらに、健康関連産業に進出が予想される製造業の集積状況でも、繊維製品や医薬品、化粧品等をはじめ多くの分野で全国的に優位な傾向が見られると分析。今後産業振興に向けた環境整備を整えていく。つづく

 

 

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