【特別インタビュー】 地域発 食品機能性表示制度の新戦略

北海道バイオ工業会 事務局長 三浦健人 氏 

 北海道が先鞭を着け、その後複数の地域で立ち上がった食品の機能性表示制度。直接的な機能性表示がなくても、消費者の購買意向を惹起できることがわかってきた。ヘルスリテラシー向上にも役立つとする地域発の食品機能性表示制度の販売戦略について、一般社団法人北海道バイオ工業会事務局長の三浦健人氏に話を聞いた。

 

 北海道は、2011年に北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区に指定され、2013年4月に北海道食品機能性表示制度「ヘルシーDo」がスタートした。機能性に関するエビデンスを道が確認して認定、その機能性はデータベースで公開、間接的に機能性表示ができる制度になっている。2015年4月に国の機能性表示食品制度ができて、ヘルシーDoを続けていくには、そのメリットをきちんと提示していきたいと考えていた。その後、新潟市の「新潟市健幸づくり応援食品認定制度」、四国健康支援食品制度「ヘルシー・フォー」、沖縄の「Wellness Okinawa Japan」など、地域で認証制度が立ち上がり、食品機能性地方連絡会ができている。今でも、長崎県で認証制度を作ろうという動きがある。

 

 認知度調査では、特保や機能性表示食品に比べ、ヘルシーDoは低い。ただ、消費者に制度を説明してから購買意向を聞くと、特保や機能性表示食品と同等になる。あらかじめ認知度を上げておかなければ買って貰えないわけではなく、具体的な機能性を書いてなくても購買意向を惹起できることがわかった。2022年9月27日の「四国食品健康フォーラム」で、高知大学現学長の受田浩之氏は、保健機能食品に対する理解度が向上すれば、それらの消費が拡大し、地域独自の機能性食品が加わることでこの好循環の回転が加速、消費者が機能性食品に触れる機会が増加し、ヘルスリテラシーの向上を通じた「大循環」が起こり、健康寿命の延伸と、地域食品産業の振興・発展にも繋がっていくとの仮説を示している。

 

 2024年7月に開催された展示会で、日経BP総合研究所メディカル・ヘルスラボ客員研究員の西沢邦浩氏は、「北海道は『安全・安心・おいしい』という元々の北海道イメージに乗っかるのが良い。そこに『健康』の付加価値を加え、ヘルシーDoに関心をもって検索することで消費者のヘルスリテラシーの向上に繋がる」という趣旨の発言をしている。地域の表示制度でデメリットと考えられてきたものは、必ずしもそうではないということがわかってきた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1820号(2025.9.17)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら