ZOOM UP【雑穀】 「腸活」「コメ高騰」で再脚光、混米市場形成本格化

 今年2月開催の「健康博覧会2025」では、来場者の37%が腸内環境に関心を持っていることがわかり、トレンド2位に躍り出た。日本では大腸がんによる死亡率が高まっており、女性が第1位、男性は第3位の上位に。“腸内環境改善”はますます切実なテーマとなっている。健康博覧会セミナー「最新研究知見から導く新たな腸活ビジネスの可能性」では、健康ビッグデータ解析を通じ、健康課題と関係する生活習慣および腸内細菌の関係性を見出すことが可能となったとする報告もあった。腸活市場は右肩上がりに成長しており、富士経済の試算では、1兆724億円に。プロバイオティクスやプレバイオティクス関連の割合が高いと分析している。

 

 昨今では雑穀を腸活に取り入れる潮流もトレンドとなっている。食物繊維に関するメディア露出も相次いでおり、「カズレーザーと学ぶ」(日本テレビ)では、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 副所長の國澤純氏が「日本人特有の新やせ菌の増やし方」をテーマに出演した。「欧米型やせ菌であるアッカ―マンシアを増やそうとするよりも、日本人の約9割が保有するやせ菌“ブラウディア”が太りにくい体質にする」と説明。大麦の食物繊維はブラウディア菌の餌になり、短鎖脂肪酸をつくりだすことを紹介した。このほか、「あしたが変わるトリセツショー」(NHK)では、大妻女子大学の青江誠一郎教授が腸活をテーマに出演。レジスタントスターチは冷やすと増える特長があると紹介した。一般家庭におけるもち麦の体験事例も紹介され、「夏場でも美味しく食べられる」「便通が良くなった」とのコメントがあった。雑穀メーカーからは、「放映後は量販店向けの出荷が増えた」との声が複数寄せられた。

 

 業務用の商品開発も市場底上げに繋がっている。中食・外食分野では大麦雑穀を採用する機運が高まっており、コンビニではもち麦使用のおにぎりや弁当などのメニュー開発が。カフェなどの外食産業では冷凍雑穀の採用が進んでいる。雑穀サプライヤーによると、「健康面はもとより、コストダウンの観点から引き合いが高まっている」とのコメントが寄せられた。加工食品では、もち麦やオートミールなどのご飯バー『満腹バーシリーズ』(UHA味覚糖)が発売され、シリーズ累計600万食を突破したという。新商品では冷凍食品『よくばり御膳 五穀ご飯とあじ竜田揚げ彩り野菜の甘酢あん』(ニップン)が3月1日に発売されるなど、市場の裾野が広がっている。

 

 昨今のコメ価格高騰も雑穀が注目を集める契機となった。食系卸によると、「押麦、もち麦などの販売数量は昨年比で10%以上伸びている」といい、かさ増し需要や食物繊維のヘルシー感が需要を後押ししていると分析する。備蓄米が放出されても値下がりの見通しがたたない中、スーパー店頭では雑穀の陳列も多くなった。もち麦品種の改良による食味改善アプローチも進んでいる。㈱はくばくでは、もち麦の新品種をアメリカの種子会社と共同で開発した。白米に多い香気成分を含んでおり、『白米好きのためのもち麦』などで採用されている。つづく

 

 

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