特集【スピルリナ】 「栄養強化」「スーパーフードの王様」で市場定着

 植物性タンパク質や糖質、脂肪酸、ビタミンをはじめ、日常生活で不足しがちなカルシウム、リン、マグネシウム、鉄など豊富な栄養素を含有するスピルリナ。近年ではスーパーフードブームを契機に知名度も格段に向上。“スピルリナ=スーパーフード”として市場に定着している。この1年の引き合い状況について、取材先からは、「スムージーなどの食品用途のほか、昨今では着色用途(緑色)での採用もみられる。ホウレンソウの緑より色が残ると評価された」「機能性表示食品素材(フィコシアニンパウダー)が国内外で注目を集めている。海外市場ではサプリ形態での引き合いが好調に推移している」「ビフィズス菌や乳酸菌との組み合わせに相性が良いことから、特に腸内環境改善系で引き合いがある」などの声が。新たな取り組みでは、「サプライヤーの撤退を受け内モンゴル産の供給をスタートした」「スピルリナエキスとRB遺伝子及び老化細胞に働き掛けるカカドゥプラムエキスを独自配合した飲料の開発を進めている」などの声が寄せられている。

 

 スピルリナの社会的認知を高めたスムージー。米国では朝食の代替やカフェとして利用するライフスタイルが根付づいている。国内でもコンビニなどの商品開発が行われている。ローソンでは、スピルリナ配合の『グリーンスムージー』シリーズをナチュラルローソンブランドで展開している。売上累計について、「2025年7月末時点の累計は約1億7,000万本以上となった」という。グリーンスムージー、ONEDAY共にシニア世代の購入が他カップ飲料と比較して多いほか、40代以上の女性に支持されているとコメントしている。

 

 スピルリナは、特有成分・フィコシアニンをはじめ、ビタミン、ミネラルをバランスよく含有するほか、クロロフィルa、脂肪酸(α-リノレン酸、リノール酸など)、カロテノイド類(βカロチン、ゼアキサンチン)などを含む。植物性タンパク質(60〜70%)の含量が高い点が特長となっている。特筆すべきは、細胞壁が薄く、消化吸収に優れている点にある。“天然のマルチ栄養素材”として、「野菜不足解消」「ダイエット時の栄養補給」を訴求ポイントに市場を形成してきた。昨今では、高齢者の低栄養(低タンパク質)やロコモ・フレイル予防といった分野にスピルリナを提案する取り組みもみられる。このほか、世界のタンパク質危機をスピルリナで解決していこうとする動きも。WHO(世界保健機構)では、「人類の21世紀のもっとも優秀なタンパク質源のひとつ」と称しており、サステナブルを打ち出した各社の提案が進んでいる。

 

 2025年大阪・関西万博日本政府館のFarm Area(ファームエリア)は藻類が主役となった。展示のクライマックスはスピルリナが登場。“いのちみなぎる緑のカーテン”と銘打ち、森の姿をイメージさせる展示が行われている。全長約1.5kmものチューブ内で人工光による培養を行うスピルリナは、天井や壁から無数に延びるグリーン色のチューブとなって館内の優しい光と織り重なり、幻想的空間を演出。館内スタッフによると、「二酸化炭素と光と水で育っており、スピルリナの無限の可能性を表現した」という。森林浴を想起させる空間をスマホで撮影する人も多く、スピルリナのさらなる認知に繋がった。つづく

 

 

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