特集【関西受託企業ガイド】 「製造設備の増強」7割、新設備・技術導入で事業拡大に攻勢
本紙が実施した2025年上半期の健食受託市場調査によると、関西の 2府3県(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山)の内、下期見通しで「増収」と回答した企業は51.8%に。景気見通しでは、「良くなる」(40.7%)と「どちらともいえない」(59.3%)に分かれ、「悪くなる」との回答がないのも特徴だ。「増収」回答企業からは、「嗜好品を中心とした受注が増えている」「低価格商品は横ばいだが、高所得者向け商品開発案件が増えた」「低粗利商品の構成比を下げ、利益率が改善した」などの声がある。また、関西の受託メーカーの59.2%が展開する海外受託においては、中国、香港、台湾、タイ、マレーシア、ベトナム、韓国、シンガポールなどアジア圏を中心に、EUや米国向けなどに、ハラル製品をはじめ、抹茶など国産素材系の品目などの割合が伸びており、「ハラル、コーシャ対応の受託案件の受注が増加している」「新たな設備投資により、国内だけでなく海外へも事業を拡大し、増収を見込む」といった声がある。
「設備投資」については、「製造設備の増強」が68.7%と最も多く、「研究設備の強 化」「品質・衛生面の補強」がともに12.5%と続く。今回の取材で、設備投資を行った一部受託メーカーからは、「新商品開発やリニューアル案件を中心に受注が増えており、新工場を稼働した」「アパレルや外食など異業種からの参入で実績が出てきたため、製造ラインを増強した」「新技術を積極的に取り入れ、素材受入キャパを拡大した」「新設備導入により、受託対応案件を広げた」などの声がある。景気見通しでは、「紅麹問題が落ち着き、回復してきた」「(紅麹問題の影響で)ストップしていた商品が動き出した」など、昨年の反動増に関するコメントが多かった。また、「トランプ関税の影響を受け、下期予定していた受託がいくつか保留状態」など新たな課題も浮上している。
関西受託メーカーの受注が伸びている剤形のトップは「粉末」。2位は「錠剤」で、3位「ドリンク」と続く。「粉末」については、原料特性を生かした殺菌方法で植物の特性を最大限に引き出す受託加工や、微粉砕加工に強みを持つ提案などがある。独自製法を活かした受託メーカーによる新たな原料開発も盛んで、オリジナル原料には、「シマアザミ」「長命草」「梅プロテオグリカン」「フェムテック・ベジプロテイン」などが見られ、エビデンスの拡充や、原料の希少性、ストーリー性のアピールなど需要創出に向けた取り組みが進んでいる。
「錠剤」では、特殊錠剤の製造も可能な専業受託メーカーが活躍。食品製造業としてのモノづくりが評価され、地元で中小企業優良企業表彰に選出されるなど、地域産業振興に貢献している事例も見られる。「ドリンク」では、滋養強壮や抗疲労訴求を含むスポーツニュートリション系や、フェムケアを含む美容・ダイエット系が伸びている。素材としては、「コラーゲン」「プロテイン」「アルギニン」などが受注上位に。ドリンク受託メーカー各社では、高濃度配合技術や、風味の安定したエキス製造、医薬行政に対応した試験設備導入などで、さらなる差別化を推進している。新たなトレンドでは、“使い切り”に適したブロー充填の需要も伸びている。つづく
詳しくは健康産業新聞1819号(2025.9.3)で
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