ZOOM UP【海外進出サポート】 ベトナム、 台湾など へ進出が活発

 国内市場の成熟、消費の冷え込みなどを背景に、海外市場に活路を見出す動きが加速している。本紙が今年6月に実施した健康食品受託製造企業を対象とした定期調査では、65.5%が「海外向け(越境ECを含む)受託を行っている」と回答し、「計画中」(4.2%)を合わせると7割弱に及ぶ。輸出の状況は、45.7%が「割合は増えている」と回答。主な取引国・地域は、「中国」「ベトナム」「台湾」の3ヵ国が上位を占めた。財務省の貿易統計によると、今年上期(1〜6月)における「ビタミン、ミネラル、アミノ酸または不飽和脂肪酸をもととした栄養補助食品(小売用の容器入りにしたものに限る)」の輸出額トップは、中国で53億8,496万円(前年同期比9.7%減)。2位は台湾で20億5,394万円(同21.5%増)、3位はベトナムで12億4,595万円(同0.7%増)と続く。

 

 中国への輸出金額の減少は、一昨年夏以降から続くALPS処理水問題や昨春に起きた紅麹問題の影響に加え、若い世代を中心に自国ブランドを推奨する国潮ブームがある。ほかにも、中国国内の景気悪化が重なったことも大きいようだ。親日国の台湾は、輸出先として人気が高い。人口は日本の約1/5にあたる約2,300万人。20年以上前から台湾・台北に現地法人を置くライフェンスでは、「紅麹問題の影響は薄れている。最近は、フェムケアやアクティブシニア向け商材のニーズが高まっている」と話す。また、台湾市場で販売実績を積むことで、華僑が多い東南アジアへの展開もしやすくなるという。

 

 高い経済成長率を維持するベトナムは、健康食品業界も注視している国の1つ。人口はASEANで3位の約1億人。GDP成長率も高く、近年は7%前後の成長率を遂げている。6月にジェトロベトナムとインフォーマ マーケッツ ジャパン共催で、ベトナム市場の美容・健康ビジネスにおけるオンラインセミナーが開かれ、約360人が聴講するなど、関心の高さがうかがえた。ベトナムでは、新型コロナを経て、予防意識が向上。セミナーを行ったジェトロ・ホーチミン事務所長の松本氏は、健康食品に対する意識調査を紹介し、期待する効果として、「免疫力強化」「栄養補給」の回答が多かったという。バイク社会のベトナムでは、スキンケア化粧品の需要が高く、紫外線対策や美白対策、ニキビ対策商品が好まれているという。7月に開催されたベトナム最大のBtoB美容展「Vietbeauty2025」(インフォーマ マーケッツ グループ主催)には、日本企業30社がジャパンバビリオンを形成。化粧品やサプリメントなどを展示、来場者の注目を集めていた。

 

 輸出先が多様化する中で、ニーズが高まっているのがマレーシア、インドネシアをはじめ、ムスリム人口の多い国へ輸出する際のハラール認証。前述の健康食品受託製造企業を対象とした調査では、ハラール認証の導入企業は昨年調査より4.6ポイント増の22.1%だった。NPO法人日本アジアハラール協会では、食品、化粧品、レストラン、宿泊施設に関連する日本企業のハラール認証サポートを手掛ける。国内ハラール認証団体として250社超のハラール認証実績を有する。ムスリム人口の増加と共に、ハラール市場が拡大する中、「これまで以上に、日本企業がハラール市場の開拓や認証取得に大きな関心を持つようになった」(同協会理事・サイード・アクター氏)と話す。つづく

 

 

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