特集【青汁】 25年上期、 市場 は膠着状態続く
本紙編集部では7月中旬〜8月上旬に掛けて、青汁製品の主要販売メーカー、原料サプライヤー、受託加工・製品OEM事業者を対象に、訪問取材およびアンケート調査を実施。50社から回答を得た。2025年上期の青汁事業の業績について「良かった」との回答は、昨年調査と比較して1ポイント減の20.0%。「悪かった」は同7ポイント減の16.0%。「どちらともいえない」は同8ポイント増の64.0%となった。各社への聞き取りやアンケート集計結果から、25年上期の青汁製品市場は、紅麹問題に揺れた昨年同時期よりは良かったものの、ここ数年との比較では、ほぼ横ばい状況で推移していることがわかった。
チャネル別で見ると、通販市場は依然として、市場全体のパイが拡大していない中、販促活動を強化した企業が売上を伸ばす一方、広告を絞った企業は売上を落とす傾向が続いている。今年上期では昨年同様、新日本製薬や新日配薬品の健闘が目立つ状況だった。店舗チャネルでは、ドラッグストアは山本漢方製薬、日本薬健の2強状態は変わらず。追随する販売メーカーに大幅な販促活動を行う動きは見られない。PB製品の台頭もあり、企業間の競争は激化しているものの、ドラッグストアの出店数に比例して市場は微増で推移している。一方、薬局・薬店では、青汁製品の新規取扱企業も見られる。対面販売の利点を生かして売上を伸ばせるかに注目される。食系店舗は昨年来、堅調な動き。昨秋の野菜高騰による青汁製品の需要拡大は落ち着いたもようだが、九州薬品工業では、引き続き食系店舗からのPB受注は安定して続いているとのこと。またビオセボンやビオラル、コストコなど有機JAS認証の青汁製品を取り扱う店舗が増えている分、食系店舗全体では、出荷量も増えているもようだ。
売れ筋アイテムの傾向については、受託メーカーの聞き取りで、機能性表示食品の開発ニーズが高まっているとの声が多く寄せられた。主要販売メーカーへの調査でも、機能性表示食品の青汁製品は概ね好調に推移していることがわかった。機能性表示食品の青汁を販売している企業は現状23.3%に留まるが、今後は商品拡充も見込まれ、市場の起爆剤になる可能性にも期待される。また、スティックゼリータイプの青汁製品も、野菜嫌いの子供向けに一定の市場を形成。配置薬ルートで高齢者向けの売れ行きが順調というメーカーも見られた。ドリンクタイプの青汁製品は、伊藤園によると、値上げの影響もあり、大型PETボトルタイプの機能性表示食品は順調ながら、小型PETボトルタイプはライトユーザーが減少しているという。こうした中、自社調査で飲用層が若年化している点も踏まえ、9月には若年層開拓を視野に、新たな切り口の新製品を投入する計画とのこと。
この他、有機JAS認証取得の青汁製品については、前述の通り、売り場の拡大を受け、相変わらず順調な動きを示している。最近では通販で有機青汁の販売を検討する販売メーカーも増加傾向にあり、「安心・安全」訴求も一定のニーズを獲得しているもようだ。 なお、原料サプライヤーへの調査で、25年上期に供給量が伸長した青汁原料は、明日葉、モリンガ、ブロッコリー、ヨモギなど。大麦若葉やケールとの比較では、出荷量は圧倒的に少ないものの、明日葉やブロッコリーはヒット商品も見られており、今後の動向に注目される。つづく
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