特集【アミノ酸】 多様な訴求で広がるマーケット
サプリメントや健康食品で利用されるアミノ酸は、素材ごとの特性を生かした用途提案が進んでいる。BCAA、グルタミン、アルギニンなどは筋肉増強・疲労回復に、チロシンは集中力、GABAやトリプトファン、テアニンはメンタルケアを訴求する商品への採用が目立つ。このほか、グリシンやシステインは美容・アンチエイジング、シトルリンは血流、オルニチンは肝機能、メチオニンは腎臓機能、グルタミンは胃サポートをテーマとする幅広い用途提案が進む。商品形態はパウダーや粒、ゼリードリンクなどの商品化が進んでいる。
ネット通販Amazonの売れ筋(7月24日現在)では、フィットネスや筋肉増強を目的としたものが好調に売れている。『PLATINUM』(アルボ)、『クレアチン』(ハルクファクター)、『レイズEAA』(REYS)などが上位にランクイン。亜鉛やトンカットアリといった活力素材をプラスしたものや香料・甘味料不使用を謳ったもの。厚労省が認めた栄養機能食品を訴求するもの。必須アミノ酸を全て含有するなどの訴求ポイントが発信されている。運動訴求以外は今年6月、オルニチンとプラズマ乳酸菌を配合した機能性表示食品『キリン オルニチンPRO 睡眠&免疫ケア』(キリンホールディングス)がリニューアル発売となった。オルニチンの研究は、疲れ気味の30〜60歳の健康な男女52名を対象にした摂取試験があり、摂取開始から5週間目以降の“睡眠時間”に関する体感の項目で有意な改善を認めた。商品化はサプリにとどまらない。L-テアニン配合のスナック菓子『おやつサプリ』(おやつカンパニー)が発売されており、夜間の良質な睡眠(起床時の疲労感や眠気軽減)をサポートする旨を表記する。
アミノ酸のスポーツ訴求が活発化する中、「腹部不快感」「脱水症」に関する機能性研究も進んでいる。運動後の腹部不快感の予防では、シスチン・グルタミン摂取の研究成果が早稲田大学スポーツ科学学術院によって発表されている。研究グループによると、「シスチンとグルタミンの摂取は、腸管が運動で受けるダメージ抑制に繋がる。低用量のシスチンとグルタミンサプリメントを継続的に摂取することで、アスリートの多くが経験する腹部不快感の発生を予防できる」としている。このほか、アミノ酸摂取が脱水症を防ぐことも慶応義塾大学などの共同研究で明らかに。研究成果は国際学術誌『Nutrients』(電子版)に掲載された。感染性胃腸炎による脱水症軽減のほか、体内水分量が不足しやすい高齢者や乳幼児などの“かくれ脱水症”を防ぐ可能性があると報告している。つづく
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