夏季別冊号【ロコモティブシンドローム対策】 「ミドル世代」の開拓に商機

 高齢者人口は推計3,625万人で、総人口に占める割合は約3割。団塊世代が75歳以上になり、日本は先進国の中でも超高齢化が進む。健康寿命延伸を達成する上で、ロコモ対策は欠かせない。行政や自治体では、様々なロコモ対策に取り組んでいる。近年は、ロコモ、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)、フレイル(虚弱)などに関する様々な研究が進展。順天堂大が高齢者専門大学病院の内科外来を受診した65歳以上の高齢者で、自立歩行可能な男女1,042人を対象に実施したサルコペニアの実態調査では、サルコペニア有病率は21.4%だった。栄養評価では、サルコペニア患者は、低栄養に関するスコアが高かった。また、フレイル実態調査では、フレイル有病率は16.6%で、一般地域住民を対象とした調査の7.4%より9.2ポイント高かった。


 本紙が昨年12月に実施した健食製造企業調査でも、「受注件数が伸びている商品カテゴリー」で、「ロコモ対策」「フレイル対策」を合わせると4位にランクインする。TPCマーケティングリサーチが昨年11月に、50~70代男女1,030人を対象に実施した「ロコモ対策商品ユーザーの実態とニーズ」の調査では、対策として意識的に摂取している成分は、グルコサミン、カルシウム、コラーゲン、コンドロイチン、ビタミンD、プロテオグリカンなどの回答が上位に挙がった。一方、予防意識に対する質問で、「もっと早く対策すべきだった」と考える人が7割超に。「対策を始めるべきだったと思う年齢」は「対策を始めた年齢」より若く、7~8歳のギャップがあった。プレロコモ・フレイル対策としてミドル世代へのアプローチが市場拡大への鍵となりそうだ。

 

 機能性表示食品の「関節」「骨」「筋力」「歩行能力の維持」分野の受理件数は900品を超える。上期では、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミン、非変性Ⅱ型コラーゲン、GABA、コラーゲンペプチド、HMBなどを機能性関与成分とした受理品があった。新規機能性関与成分では、メチルサルフォニルメタン(MSM)が、「膝の違和感を軽減する」旨の表示が可能になった。筋肉維持や骨強化における理解が進み、“筋活”“骨活”をコンセプトとした商品も増えている。機能性表示食品以外にも、ロコモ対策向けに利用されている機能性素材は多い。原料サプライヤーでは、「体感性」に加え、「臨床試験データ」「コストメリット(少量での効果)」「海外での利用実績」などを差別化に提案を進める。

つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1816B号「夏季別冊号」(2025.7.16)で
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