夏季別冊号【薬系店舗ルート】 市場規模10兆円突破、成長続くDgS市場
◆健康志向+“手軽”“分かりやすさ”
小売り全体が苦戦する中、医薬品から日用品、雑貨、化粧品、総菜や生鮮含む一般食品まで幅広い品揃えで利便性を高めるドラッグストア市場は、安定した成長を続けている。主な要因は、粗利率3~4割である「調剤併設の増加」と、月に1~2回購入の医薬品や化粧品、日用品と異なり、日々の購入機会を提供できる「食品品揃えの強化」の2点。各社が推進する積極的な新規出店や、アプリ等を活用した通販や店舗集客販促なども健康食品売上の底上げに繋がっている。各社からは、「新規出店分が純粋に全体の売り上げ増に繋がっている」「インバウンドの回復基調が寄与している」「錠剤やカプセルだけでなく、茶類や植物油、雑穀、飲料、甘味料、製パンなど、より手軽で分かりやすい健康志向食品の人気が高まっている」「化粧品が好調で、アロマ雑貨や日用品などフェムケア訴求を含む女性向けの健食提案に重点を置いている」「アプリ販促を含めた通販が好調」といった声がある。
DgSには、消費者の購買を左右する健康食品の販売価格として“3,000円の壁”が定説とされており、ブランドオーナーやチェーン各社のPBも3,000円以下の製品群が集中している。健康食品の売れ筋をみると、通年型のヒット商品には、『SOY JOY』シリーズおよび『ネイチャーメイド』シリーズ(大塚製薬)、『プレミアムカロリミット』(ファンケル)、『100kcalマイサイズ』シリーズ(大塚食品)、『キリンiMUSE 免疫ケア』シリーズ(キリンホールディングス)、『アサヒディアナチュラ』シリーズ(アサヒグループ食品)などがある。中高年や高齢者向けの健康維持・増進として、マルチビタミンや青汁、プロテインのほか、免疫含む慢性疲労、睡眠、ストレス、中性脂肪などの生活習慣改善に着目した製品群は定番化しており、バーやグミ、飴など健康志向の一般加工食品の上市も増えている。トレンドでは、更年期に着目したフェムケア訴求の提案が増加傾向に。直近では、野菜高騰を一因とする青汁製品の伸長や、インバウンド回復に伴う高価格帯NMN購買の高まりなども見られる。
◆フェムケアでロンジェビティなど新トレンド
卸各社による商談会では、今後の薬系流通のトレンドを見据えた様々な健康食品売り場を提案。大木ヘルスケアホールディングスは、「健康食品」コーナーで、「サプリと運動、プロテインの組み合わせのクロスMDが有効」「青汁拡大のカギは30~50代女性新規ユーザーの獲得にあり!」「サプリメントが苦手な方に機能性おやつをオススメ‼」「ダイエットサプリは複数ヘルスクレームがトレンドに」「夏こそ大切!冷え対策“6年根高麗人参”」など、トレンド分析に沿った商品販売方法を提案。また、GABA、クロセチン、テアニンなどを配合した睡眠の悩み別に陳列を分ける展示例などを紹介した。「フェムケア」では、専売品として、3月に自社研究および論文にて「中高年の健常な女性の日常生活における一時的な疲労感(疲れやすさ)を軽減する」旨のヘスルクレームで受理した初の機能性表示食品『ESTRORICH.PURE(エストロリッチピュア)』(インタートレード)も披露。
2025年のトレンドワード「ロンジェビティ(長寿)」について40~60代では、更年期ケアと「自然体で可能な限り老化を抑えたい」というロンジェビティ志向が強いとし、プロテオグリカン配合サプリや青汁などを紹介。20代では、老化が現れる前にその兆候を予防する「プレジュビネーション」という動きがあるとし、リポソームビタミンCを配合したサプリや、コラーゲンを配合したプロテインを展示。ロンジェビティについて年代ごとの提案が必要とした。
アルフレッサヘルスケアは、2月に「ライフサポートフェア」を開催、機能性表示食品では『快眠ユーグレナ』(アリナミン製薬)や『免疫習慣生活』(森川健康堂)、『ベアーズサプリ×PEACH JOHN』(エムズインク)、『推し活ブルーベリー』(常磐薬品工業)などが注目を集めた。健康食品では、『スッキリオリゴ』(森永乳業)や『ザ・ブライトワン』(メタボリック)、『ディアナチュラスタイル ビタミンD×亜鉛+ビタミンC・B1・B6』(アサヒグループ食品)、『BIGマカ』(ライフサーポート)、『毎日の青汁ゼリー』(新日配薬品)、『Jr.ENERGYinエネルギー』(森永製菓)などのほか、今年上市予定の青汁グミ試食提供(山本漢方製薬)などを紹介した。
◆JACDS、「2030年、3.5万店。13兆円産業を目指す」(塚本会長)
(一社)日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)では、「2025年10兆円産業化」を掲げた事業計画を推進してきたが、今春にまとめた2024年度版業界推計「日本のドラッグストア実態調査(速報版)」では、売上高10兆307億円(前年比9.0%増)、うち健食含む「調剤・ヘルスケア」は3兆3,318億円(同8.7%増)、店舗数2万3,723店舗と報告。6月の通常総会で、前期に続き会長に就任した塚本厚志氏(マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役副社長)は、「2030年に3.5万店舗13兆円産業を目指す」とし、対応した重点施策として「食と健康マーケット拡大に向けた検討を一層進める」と強調。機能性表示食品の実証実験については、これまで各省庁と確認しながら実施してきた店頭の陳列棚やヘルスクレームのボード、商品の提案説明などについて、「改めてJACDSメンバー企業に展開を促す形で進めていく」とした。
つづく
詳しくは健康産業新聞1816B号「夏季別冊号」(2025.7.16)で
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