夏季別冊号【インタビュー】 消費者庁 食品表示課 保健表示室長 今西 保氏

届出者に責任「普段からの連携が重要」
「機能性表示食品」 制度改正、 GMP確認作業スタート

 機能性表示食品制度は2015年4月のスタート以降、糖質・糖類・エキス等の追加、ゾロ品の迅速確認が可能な仕組み、PRISMA2020への対応ほか、この10年で各種の運用改善や改正が行われてきた。そして24年3月の紅麹問題を受け、制度は同年8月23日に抜本的に改正。新たな仕組みやルールが導入された。今年4月には、機能性表示食品の届出等告示が施行。届出方法や自己点検の報告等が「告示」によって規定された。機能性表示を行うサプリメントはGMPが義務化され、来年8月末までの経過措置期間中に、消費者庁が全ての製造等施設を訪問しGMPの実施状況等を確認する作業が始まっている。GMPを中心に、改正のポイントについて、4月に消費者庁食品表示課保健表示室長に就任した今西保氏に話を聞いた。

 

──機能性表示食品の届出確認状況は

今西 3月末に向けて、申請が集中していたため、ちょうど24年度に届出された分を公表し終えたところ。4月以降に申請された届出は、確認作業が60営業日になる。4月以降は、確認する内容も変わってくる。

 

──GMP確認作業について

今西 機能性表示食品と特定保健用食品の製造等施設についてGMPの実施状況等を確認する。約10人のGMPチームを設置しており、経過措置が終了し完全施行の来年9月1日までに全ての製造等施設を訪問する計画としている。機能性表示食品の対象施設は350程になる見込み。受け入れ側の準備もあると思うので、約10人が複数のチームに分かれて効率的に行う。訪問は5月末から始めており、6月末時点で10分の1ほどを訪問した。

 

──自主点検指針はまだ公表されていないが、現状はどのように対応を

今西 食品衛生基準審査課が5月2日に公表した自己点検表は、「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び品質管理(GMP)に関する指針(ガイドライン)」(311通知)に基づいている。311通知と機能性表示食品のGMPの要件では異なっているところがある。例えば311通知では、総括責任者の要件について規定があるが、機能性表示食品のGMPにはその要件がない。ただ、全く別のものを作ると事業者の方が混乱するので、311通知に基づく自己点検表をベースにしたものを作成する予定。ただし、約350施設の実態はまだわかっていないので、まずはその実態を確認した上で、実態を踏まえた自主点検指針を作りたいと思っている。なるべく早い方がいいと思うが、あまり早く出しすぎて実用性に欠けるものになってはいけない。GMPは民間で(公財)日本健康・栄養食品協会と(一社)日本健康食品規格協会が認証しているが、これらの認証を取得していない施設もある。そういった施設についても訪問し、GMPの状況を確認していく。

 

──確認に加えて行う助言とは

今西 状況に応じて、ということになる。民間認証の有無にかかわらず、施設に対するアドバイスがあれば、施設を確認した際にコミュニケーションを取っていきたい。

 

──確認作業において、工場はどの部分まで見るのか

今西 原料の受け入れから最終的な出荷までがGMP。その工程ごとに確認していく。製造管理と品質管理がある。品質管理は、試験検査やその検査結果の記録になるので、GMPの要件に照らし合わせながら確認する。原料を自社で作っているところもあれば、他社が作っているところもある。原料規格を確認するのがGMPの最初のスタートになる。GMPでは原料の受け入れ時の確認で、規格に適合したものを受け入れているかということが確認する点となる。

 

 今回、製造等施設のGMP実施状況等の確認を行うが、必ずしも機能性表示食品を製造しているところを見るわけではない。多くの製造施設は機能性表示食品ではないいわゆる健康食品も作っている。機能性表示食品の製造しているところを見に行くことが難しい施設も多い。届出情報の中にある製造施設情報を集めると約350施設になるので、その約350施設を訪問する考えだ。訪問時に機能性表示食品を製造していなかったとしても、その施設における製造管理、品質管理、管理のシステム等を含めて確認をしていく。つづく

 

 

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