夏季特別号【機能性表示食品/特保】 機能性表示食品、撤回含む総数1万品へ

 24年度の機能性表示食品の届出数(撤回含む)は、前年度比10.5%増の1,584品となり、年度別で過去最高を更新した。紅麹問題の影響で届出ペースが鈍化する状況が生じながら過去最高となったのは、年度末の3月に前月の約3倍となる345品が一挙に届出されたためだ。4月からの届出新様式前に、届出が集中する結果となった。これにより、15年度の制度スタートから節目となる10年間での総届出数は9,912品。1万品到達が間近になってきた。なお10年間での取り下げ総数は2,820品。これを除いた累計数は7,092品となる。さらにこのうち「販売中」は3,420品。富士経済は2月28日、2024年の機能性表示食品市場が見込みで前年比5.2%増の7,274億円になるとする調査結果をまとめた。サプリ形状は紅麹問題の影響を受けたが、飲料を中心に好調だったという。同社によると、機能性表示食品の表示別市場規模ランキング1位は「脂肪(低減)」。脂肪は16年以降、1位を継続している。2位は「腸内環境×ストレス緩和×睡眠」、3位は「膝関節」、4位は「免疫機能維持」、5位は「胃の負担軽減」だった。

 

 利用率に大きな変化はない。消費者庁は6月20日、2024年度「食品表示に関する消費者意向調査」を発表、機能性表示食品を「現在摂取している」割合は15.9%で、前年調査から0.2ポイント増に留まった。調査は委託により今年3月、15歳以上を対象に実施。有効回答4万3,247件から無作為に1万サンプルを抽出した。機能性表示食品を摂取したことがなく、今後も摂取予定はない割合は41.5%。「摂取したことはないが、今後摂取してみたい」の27.3%を加えると、7割が未経験になる。機能性表示食品を「現在摂取している」1,592人の摂取頻度は、「決まっていない」が27.0%で最多。前回23.4%だった「毎日」との回答は21.0%に減った。「毎日」に「週3〜6日」(15.7%)と「週1、2回」(26.0%)を加えると、利用者の約6割が週に1回以上摂取している。機能性表示食品は摂取経験がない割合が7割に上る一方で、「毎日摂取」などのヘビーユーザーが存在することが浮き彫りになっている。

 

■特保、「疾病リスク低減」で新表示例

 特保は18年以降、年間の表示許可件数が40品を下回る状況が続く。25年上期の表示許可件数は12品。社名や商品名、風味などの変更による再許可特保が10品で、規格基準型特保が2品だった。これにより、特保の許可・承認数は1,035品。取得企業は120社となった。前述の富士経済の調査によると、特保は17年以降、市場が縮小。24年は前年比1.8%減の2,668億円となる見込み。昨年は特保の強みを生かした疾病リスク低減特保の流通がスタート。マルハニチロ食品が販売する『DHA入りリサーラソーセージω』で、表示内容は、「日頃の運動とDHA及びEPAを含む健康的な食事は、将来、心血管疾患になるリスクを低減する可能性があります」。昨年2月から全国のスーパーマーケットやドラッグストアなどで展開している。TVCMなどの販促活動に加え、魚肉ソーセージのヘルシーさも支持され、「主な購入者層は50〜60代男女。販売量は想定を上回るペースで推移している。「リサーラ」シリーズが20周年を迎える中、今秋に向けてキャンペーンを実施していく」という。

 

 特保に関する部会活動や講習会などを行っている日本健康・栄養食品協会では、疾病リスク低減特保の新規申請支援を実施しており、「申請を検討する事業者もあり、商品の広がりに期待したい」と話す。特保のみ可能な疾病リスク低減表示に関しては、新たな動きがあった。消費者庁は関連通知に、新たな表示例を追加。「日頃の運動と○○を豊富に含む健康的な食事は、△△の方に適しています」との表示が可能になった。

 

 全国清涼飲料水連合会によると、2024年の機能性表示食品生産量は1億2,384万ケースで前年比112.8%だったの対して、特保生産量は3,782万ケースで前年比88.5%だった。各社、上期は既存ブランドの販促に注力した。サントリー食品インターナショナルの今年1〜5月における特保と機能性表示食品の販売数量は、前年比3%減となった。一部商品の価格改定の影響などもあり、前年割れとなったが、「伊右衛門 特茶」ブランドは、「有効性のエビデンスであるヒトによる長期飲用試験結果を示したコミュニケーションの成果が出ており、販売量は前年を超えて好調に推移している」という。コカ・コーラシステムは、『からだすこやか茶W+』『綾鷹 特選茶』などを販売。「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」「内臓脂肪を減らすのを助ける」と、3つの機能を謳える『からだすこやか茶W+』は、2月にパッケージリニューアルを実施。販売数量は、「計画対比で順調に推移している」という。つづく

 


 

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