特集【吸収性向上素材・技術】 “高吸収”を実現する素材・技術に注目
吸収性向上素材・技術は、体感性アップとコストダウンの両建てを実現することから、サプリメントのエンハンス開発に欠かせないパーツになっている。本特集のアンケート調査では、「ジャンルにもよるが、お試し一週間のサンプル商品で体感性・即効性を感じないと本購入に繋がらない」(大手通販企業・開発担当者)、「スポーツサプリの受託製造案件の中で、発汗性や抗疲労に関して、即効性を求められるケースが多い。それらの機能を持つ素材に+αが必要」(受託製造企業)などの声がある。機能性表示食品の吸収性向上に関しては、「機能を謳えばより効果を求められる。体感性向上は最大のテーマであり、製造者・開発者の使命」「表示が逆効果になることもある。表示ができるからこそ体感をアップしないとリピートには繋がらない」「体感性向上の観点から言うと、ヘルスクレームがトリプル以上になると、商品設計が難しくなる」などのコメントがあった
吸収性向上技術としては、「ナノリポソーム化」「微粒子化」「酵素分解」「低分子化」「乳化」「コーティングビーズ」「高分散型ソフトカプセル」などがある。受託製造企業では、吸収性向上・分散性性向上・コスト削減・呈味性改善に寄与するこれらの差別化技術を活用した高付加価値製品のOEM/ODM供給を推進する。加工依頼が増加しているのはナノ化技術。他社に先駆けて、特許技術「食品素材のナノリポソーム化技術」を活用した事業展開を図ってきた金秀バイオでは、昨夏までに製造ラインを段階歴に増強し、国内外における需要増に対応している。今後も、素材開発からOEM供給、自社商品の販売まで、“国産ナノリポソームビジネス”の拡大を図っていく。成分吸収率の向上を実現する特許技術「コーティングビーズ」を活用したサプリメントのODM事業を展開するのは信和薬品。成分特性にマッチするパターンに分けてビーズ化するノウハウを蓄積しており、「各成分の特性に合わせて、最適な吸収率を自在に操ることも可能」だ。
吸収性向上をサポートする素材としては、主剤の吸収促進作用を有する黒コショウ抽出物が代表的。主材をサポートする“機能性素材のための機能性素材”は、高体感性サプリの処方には欠かせない。サビンサジャパンコーポレーションでは、黒コショウ抽出物『バイオペリン®』の供給が好調。サプリメントはもとより、一般食品での採用も。先行する米国市場では、同素材が配合されている証であるロゴマークが付与され、一般消費者への認知も広がっている。「カルシウムの吸収促進にはビタミンDを」というように、吸収性を高めるための成分の組み合わせは重要なファクターになるが、フコイダン、高麗人参、クルクミン、ビタミンCなど、素材自体の吸収性を高めた差別化原料も数多く開発されている。高吸収型ケルセチン『ユビオケルセチン』を提案するのはアルプス薬品工業。ケルセチン配糖体を関与成分に機能性表示食品(中性脂肪対策など)の届出も受理されている。つづく
詳しくは健康産業新聞1815号(2025.7.2)で
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