第42回日本微量栄養素学会学術集会 鉄の役割を可視化・操作する方法を紹介

 日本微量栄養素学会(京都市北区)主催の「第42回日本微量栄養素学会学術集会」が6月21日、京都リサーチパーク(京都市下京区)で開催された。特別講演では、東京科学大学 総合研究院 難治疾患研究所細胞動態学分野の諸石寿朗氏が、「鉄代謝制御機構とその生理・病態における役割」と題し講演。諸石氏は、鉄が生命に欠かせない栄養素であることに触れ、ヒトにおいては約400種類の鉄結合タンパク質が存在するとされており、ゲノム複製、エピ ジェネティクス、電子伝達系など、広範な細胞機能に関与する補因子として生命活動に必須の役割を果たしているとした。

 

 一方、近年は鉄が駆動する細胞死(フェロトーシス)や、鉄による細胞増殖・分化の制御が明らかとなり、鉄が単なる酵素の補因子としてだけでなく、酵素活性を動的に制御し得るミネラルであるという思考のパラダイムシフトが起きていると紹介。その一例として、鉄と老化の関係について、健常者の加齢による脳の萎縮部位をMRIで分析した結果、脳に鉄が蓄積しており、その部位が萎縮部位と相関することが示されている事例を紹介。脳以外にも心臓や脾臓、肝臓、骨格など様々な臓器において鉄分蓄積が見られ、老化の負のタイプを促進するとした。つづく

 

 

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