別冊『沖縄県~健康・美容産業~』 増える観光客、海外市場への足掛がりにも
長寿を支えてきた伝統的な島野菜や果実、海藻などの農海産物は、「ヌチグスイ(命の薬)」「クスイムン(薬になるもの)」と言われる。これら伝承的な健康機能に、エビデンスデータが備わり、ウコン、フコイダンを筆頭に、沖縄ブランドが国内外に浸透している。ここ数年は、シークヮーサーが人気に。健康機能が解明され、飲料を中心に販売量が拡大している。微細藻類原料のほか、アップサイクル原料、有機原料なども注目度が上昇。また、コロナ収束後、急速に観光客数が回復する中、沖縄は世界5大長寿地域”ブルーゾーン”として海外の認知度が高く、健康産業業界にとってはビジネスチャンスとなっている。
亜熱帯特有の農海産物が豊富な沖縄県。特色ある機能性素材、商材が国内外に広がっている。なかでも、ここ数年はシークヮーサーが飲料を中心に人気だ。県内外で県産品を取り扱う「わしたショップ」や「沖縄宝島」でも、健康食品カテゴリーの売れ筋商品はシークヮーサー飲料が上位を占める。「わしたショップ」を運営する沖縄県物産公社では、「シークヮーサーはウコン同様に定番品になっている。認知度が高く、県外店舗でも売上が安定している」と話す。また、中性脂肪低下作用をはじめ、排尿障害改善、認知機能の改善など、様々な健康機能が解明され、ユーザーの裾野の拡大。取り扱い事業者からは、「県外のGMSへ飲料の採用が決まった」「全国展開する小売店PB飲料が好調」「排尿領域で機能性表示食品を届出中」などの声が聞かれた。
沖縄モズク由来フコイダンは、原料サプライヤーの金秀バイオ、ホクガンが国内のみならず、海外展開に注力。販売地域の拡大を進めている。機能性表示食品では、沖縄モズク由来フコイダンを関与成分に便通を改善するモズク加工食品が受理されている。また、海洋性微細藻類の研究・素材開発が活発に。クロレラ、ユーグレナなど以外にもラビリンチュラ、パブロバといったニューフェイスが登場。環境負荷が少ない状況で培養できる点からSDGsの観点からも注目度が上昇。今春には久米島に日本初となる藻類農園がオープンし、観光サービスが一体化した施設として話題を呼んでいる。
定番素材のウコンは、外食機会が増える中、「二日酔い対策向けに販売量が伸びている」といったコメントが多かった。また、独自品種のウコン原料や有機原料の栽培拡大を進める動きも。別名“眠り草”とも呼ばれるクワンソウは、機能性表示食品が受理されており、“天然由来成分の快眠サポート素材”として利用が進む。このほかにも、ポリフェノールリッチの紅イモや紫イモ、活力系素材のクーガ芋やスッポン、シナモンの一種で香りが特徴的な沖縄ニッケイ―― など、注目素材が目白押しだ。
沖縄県などが支援する健康食品のブランド化に向けた沖縄独自の認証制度「WELLNESS OKINAWA JAPAN(WOJ)」(事務局:沖縄県健康産業協議会)は、サプリメント、飲料、茶、ゼリーなど、累計認証数は29商品(21社)となった。沖縄県健康産業協議会・専門コーディネーターの照屋隆司氏は、「認証商品が増え、WOJに関する問合せが増えている。また、認証企業はスタートアップが多く、売上分母こそまだ低いが、問屋商談会を通じて販路開拓など、一定の成果が出ている」と話す。沖縄県では、2022年にバイオ関連産業振興計画(健康・医療分野)を策定。バイオ関連産業全体の売上高は153億円(推定)で、健康食品が8割近くの121億円を占める。今年度は、「健康食品ブランド力魅力アップ推進事業」を実施。WOJ認証商品の開発・販路開拓支援のほか、製造事業者等への品質管理点検・指導を行い、ブランド力の向上に繋げていく。つづく
詳しくは健康産業新聞1814B号 別冊『沖縄県』(2025.6.18)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら