特集【25年上期総括・健康食品受託加工/製造】 機能性表示サプリ、消費者庁がGMP確認作業

 本紙健食受託調査は年2回実施。今回は約250社にアンケートを依頼、125社から回答を得た。上期の増収企業は47.8%で、上期調査では3年ぶりに5割を下回った。この1年で、健食受託市場では2つの大きなトピックがあった。1つは、紅麹問題を受けた機能性表示食品制度の改正。もう1つは、今年1月に発表された日健工の立ち上げだ。

 

 機能性表示食品制度の改正では、昨年9月1日、天然抽出物等を原材料とするサプリメント形状(錠剤、カプセル等)の機能性表示食品の製造・加工において、GMP(適正製造規範)の順守を義務化。2026年8月31日までを経過措置期間としている。そして今年5月14日、この経過措置期間中に、消費者庁は対象施設のGMP実施状況を確認することを機能性表示食品の届出者に連絡した。消費者庁のGMP担当チームが製造施設を訪問、必要に応じて助言も行うという。すでに、いくつかの施設への訪問が始まっている。対象となる施設は約350。現場確認に加えて、製造体制の資料など書面の確認も行う。確認に当たっては、「自己点検」も求める。自己点検に用いるリストは、 5月2日に公表した「錠剤、カプセル剤等食品の製造管理及び自己管理(GMP)自己点検表」に、機能性表示食品に求められる事項を注釈で示したものになる。製造等施設のGMP順守は、「届出者が確保すること」としている。消費者庁は、今回のGMP実施確認の状況によらず、届出者に対し、製造等施設と連携の上、GMP順守の確保に向けて引き続き対応する必要がある、としている。

 

 受託企業からは「責任が重くなった」「万全の体制で臨む次第」との声が聞かれる。対応するために「新たに高額な分析機器を導入する必要があり、すでに見積もりを出している」という企業もあり、新たなコスト負担を強いられるケースもあるようだ。業界関係者は、自己点検表が示されたことで、「原材料の受け入れから出荷可否判定まで、各段階の責任の所在が明確になる。製品品質は確実に上がる」と指摘。「しかし、品質確保にはコストがかかるので、最終製品の価格設定もこれまでとは違ってくるのではないか」とみる。一方GMPに関する基準が国から示されたことで、「海外向けの健康食品にとってもメリットが出てくる」と分析している。

 

 もう1つのトピックは、日健工の発足。1 月23日に設立、 3月11日に設立記念祝賀会が開催された。6月6日時点の加盟企業数は25社。祝賀会では行政や業界団体、アカデミア、原材料メーカー、販売業者と連携を取りながら、同業者の垣根を越えて、参加する受託企業の連携を図る方針が打ち出された。今回の受託調査では、この日健工に関する質問を追加した。すでに加盟している企業からは、理由として「業界の結束」「受託企業同士の横の連携強化」「情報共有」「ノウハウ共有」といった前向きな声が聞かれた。一方で半数は、現時点での加盟を見送り。活動内容が見えないことなどが理由に挙がった。「検討中」は35%で、「今後の活動状況などを踏まえて検討していく」「影響力を様子見」「活動内容を注視し、今後の加盟について考える」などの意見が聞かれた。つづく

 

 

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