連載⑯【海外ヘルスケア最前線】 バルセロナ開催「Vitafoods Europe」注目トレンドは
欧米を中心に変化するヘルスケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役社長の田中啓之氏が、海外ヘルスケア市場の最
新動向などを紹介する。今回は欧州最大の健康食品展「Vitafoods Europe」に見る注目トレンドについて――。
5月20〜22日の期間に、スペインで「Vitafoods Europe 2025」が開催されました。1997年の初開催以来、欧州最大級の健康食品原料展示会として、同市場の現在地と今後を映し出すトレンド中心地として注目を集め続けてきました。今年からはその舞台をスイス・ジュネーブからスペイン・バルセロナへ移しての第二幕となります。開催場所の利便性も高まったことから、関係者の期待はこれまで以上に大きく、展示者・来訪者からも熱気が伝わってくる3日間となりました。 注目点は数多くありますが、特に印象的だったポイントなどを紹介させて頂きます。
今年3月に米国で開催された「Natural Products Expo West」ではGLP-1トレンドが圧倒的存在感を放っていたのに対し、「Vitafoods Europe」では相対的に限定的な展示にとどまっていた点が印象的でした。周辺サポート素材も併せてGLP-1経路の活用を謳った素材の発表等もありましたが、むしろ欧州では“過剰な期待への慎重さ”が見られたように思います。逆に、欧州らしさを強く感じたのは、フェムケアやメンタルウェルネスといったテーマへの丁寧な取り組みかもしれません。更年期ケアとプロバイオティクスを掛け合わせた商品や、“サイコバイオティクス”というフレーズを通じてストレス・認知・睡眠を包括的にサポートする乳酸提案・展示が多いことが目につきました。
王道のコラーゲンも出品が多く見られましたが、美容用途のみならず、関節やスポーツパフォーマンスを意識した素材提案が加速していた点が印象的でした。北米での“派手さ”とは一線を画し、あくまで「エビデンスの豊富さ」に軸足を置く姿勢がヨーロッパ風でしょうか?一方で米国市場と同様なトレンドも見受けられます。コロナ禍以降北米を中心に需要が伸びているマグネシウムについては、欧州市場でも勢いがあります。記憶力や睡眠の質を高めるエビデンスを豊富に持つマグネシウムL-スレオネートなどは既に北米市場では市民権を得ていますが、欧州市場にも展開すべく積極的な展示が見られました。つづく
詳しくは健康産業新聞1814号(2025.6.18)で
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