特集【中国産原料サプライヤーの戦略】 「性能」「品質」の高度化進む“世界の工場”
日本の約26倍の国土、約14倍の人口を有し、様々な文化や風習が混在する中国は、2012年に第二次産業の比率を逆転するまで、外需主導型産業の牽引する「世界の工場」として、安い人件費と安価な製造の提供でグローバル市場に流通する製品展開を支えてきた。各国の商流やトレンドのノウハウが長年に亘り蓄積され、それぞれのレギュレーションに応じた性能や品質の高度化も進み、従来の安価なイメージはなくなってきている。健康食品分野においては、中国産原料の供給だけでなく、話題となっている他国産原料の産地や製造の情報をいち早くキャッチし、自国発ビジネスへの発展と応用が進む。
国内では、日中に精通する原料サプライヤーとして、フィトファーマ㈱や㈱サンクト、大栄トレーディング㈱、㈱シンギー、㈱フリーマンニュートラグループといったサプライヤーが活躍。いずれも、日中間における「価格」と「品質」の安定、安全性管理(残留農薬・菌数などの品質検査)、国内第三者機関での品質分析、取扱原料の製造工場検査などを徹底し、日中の掛け橋として健食ビジネスを展開している。サプライヤー各社では、原料供給だけでなく、“+α”の新たな提案も進む。具体的には、日本の製剤化技術に着目し、産学連携で機能性を高めた新成分の開発や、中国内グループ企業との連携による越境ECの支援、日本国内での健食受託製造工場の建設、グローバル拠点のを日本向けにカスタマイズした市場レポートの提供など。「深刻な高齢化が予想される中国で、将来的に日本の製剤化技術を活用した差別化原料を展開したい」「SNSによるビジネスが急拡大する中国で、供給先のサプリメント販促を支援したい」という声がある。
中国海関総署によると、2025年第1四半期(1〜3月)の貿易総額は10兆3,013億元(約216兆3,277億円)で 8四半期連続の10兆元超となり、第 1四半期としては過去最高を更新した。健康食品の分野でみると、日本の少子高齢で求められるニーズへの対応と海外進出への期待、中国の高齢化とSNSビジネスの成長とを組み合わせたビジネスモデルに大きなチャンスがある。直近では、中国に145%の関税率を課したトランプ政権の経済制裁に125%の関税率で対抗し、5月12日に米中115%の関税引き下げで合意した共同声明を発表したことも話題に。中国は日系企業の海外拠点数1位であるため、各国とのビジネスを手掛ける現地日系企業にとっては、90日間の停戦措置以後が不透明で予断を許さない状況が続く。なお、日中に精通する中国産原料サプライヤー各社からは、日本市場への安定供給や価格変動面への影響について「現状なし」とする見方が示されている。つづく
詳しくは健康産業新聞1813号(2025.6.4)で
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