特集【プロテオグリカン】 免疫調整の新知見、産学開発の新原料も

 プロテオグリカンの機能性表示食品の受理数は、累計180品目(5月末時点)と前年比25.8%増に。ファンケル、ディーエイチシー、富士化学工業、えがお、皇漢薬品研究所のほか、化粧品を主力とする資生堂、ノエビア、新日本製薬、アテニア、エンチーム、ドリンクメーカーのダイドードリンコ、製菓メーカーの森永製菓、加工食品の王子サーモン、住宅総合メーカーのアルクなどが展開している。一丸ファルコスでは、関節と美肌のWヘルスクレームも可能な機能性表示食品をはじめ、美容ドリンクやタブレットなどの一般食品向けにも幅広く採用が進んでいる。PRISMA2020準拠の機能性表示食品を受理しており、“サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン”を機能性関与成分とする受理実績は業界トップだ。北海道産サケ鼻軟骨由来プロテオグリカンを供給するリナイスでは、関節対応の食品用粉末原料『SCP コンプレックス—LS』を主力に順調に推移。今後は供給量の伸びているタイやマレーシア、韓国などに加え、関節対応市場の大きな米国市場への進出を計画。Self GRAS認証も今秋には取得できる見通しだ。

 

 アスタキサンチンのトップサプライヤーである富山県の富士化学工業では、一昨年より北海道産サケ鼻軟骨由来『高濃度プロテオグリカン』の原料・OEM供給を展開。関節と美肌訴求でPRISMA2020準拠の機能性表示食品に対応しており、引き合いが増えている。北海道産プロテオグリカンを供給する日本薬品では、筋肉量減少抑制に寄与する新たなエビデンスを確認。サルコペニア対策素材としてはもとより、アスリート向けの筋肉強化素材など機能性表示食品としても市場導入が拡大している。新規の原料サプライヤーによる新たな提案も。国内唯一の粉末タンニン酸メーカーである和歌山県の富士化学工業では、和歌山大学と共同で新素材『梅プロテオグリカン®』を開発。今年からサンプルワークによる提案に着手している。

 

 青森県では産学官連携で“あおもりPG”の認知拡大を進めている。2024年9月末までの成果として、県内42社、県外38社が商品を開発、(一社)あおもりPG推進協議会加入企業(全107社)を対象とする累計製造品出荷額は約604億2,000万円(前年約508億円)に。なお、あおもりPG協議会の認証商品は化粧品159品、サプリメント(機能性表示食品含む)、食品・ドリンク113品で計272品(2025年3月末現在)。地元企業では、青森県産業技術センター開発のプロテオグリカンの保水性能を向上させる技術を活用し、新たな化粧品原料と原液美容液を商品化している角弘や、リンゴ酢の老舗メーカーで、500mL中PGを300mg含有する黒リンゴ酢『女神の林檎』など、『女神』シリーズが女性層を中心に好調なカネショウなどが活躍している。

 

 関節系と美容系を中心に、エビデンス構築も進んでいる。青森県・弘前大学では昨年、新たにマウスでの育毛効果も確認。「PGは健常者が摂取すると体感がなく、何かしらQOLの低下している人が摂取すると体感するなど、“免疫調整”のバランスが取れていれば、あえて作用しないメカニズムがある」(特任教授・中根明夫氏)という。関節の通風緩和に関する新たな知見も。医療法人東札幌病院では、プロテオグリカンに関する研究で、関節の疼痛緩和についてEユニット構造プロテオグリカンは、少量摂取で効果が期待できることを確認。イカの頭部軟骨から抽出したオリジナル原料『プロテオグリカンE』を供給するメディエンスは、E型コンドロイチンから構成されている原料特性に加え、価格面で優位性を出せる点をアピールポイントに、新規採用の続伸など好調に推移している。つづく

 

 

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