特集【抗肥満・抗メタボ】 機能性表示食品、「内臓脂肪」が急伸

 今年3月に米国アナハイムで開催された自然食品・サプリメントの展示会「ナチュラルプロダクツエキスポウエスト」では、GLP-1にフォーカスしたダイエット・血糖値対策サプリの商品が会場を賑わせた。GLP-1は血糖値を下げるホルモンで、近年国内でも「GLP-1ダイエット」として、GLP-1受容体作動薬を自由診療枠で受けるケースが増えるなど話題となっている。

 

 GLP-1治療は、血糖をコントロールでき、食欲が抑えられることから、糖尿病患者のみならず、ダイエットや減量を目的に利用するケースが増加。最新の研究では、精神的な安定にも好影響を与えるとの結果が発表されるなど、関心が寄せられている。反面、食事から栄養素が吸収し辛くなる点や、胃腸の不調、低血糖などのリスクも報告されている。展示会会場では、こうしたGLP-1受容体作動薬の使用者に向けた栄養補給サプリをはじめ、GLP-1ホルモンのレベルを助けるサプリメント、さらには消化や腸に良い腸内環境改善を目的とした処方のサプリメントが数多く並んだ。

 

 Nutri社では、複数のGLP-1関連製品を展示し注目を集めた。『GLP-1COMPLEX』や『GLP1 GUT』といった新製品を発表。商品にはGLP-1の活性を目的にしたフェヌグリークやジヒドロベルベリンに加え、腸内環境改善を目的にしたプロバイオティクス、痩せ菌として知られるアッカーマンシアムシニフィラ菌などを配合していた。Nutri社では、NMNやマグネシウム、クレアチンなど話題性のある成分を配合したサプリメントも手掛けており、GLP-1を含めて来場者の関心を誘っていた。

 

 現在、GLP-1は米国のみならず世界からも注目されており、英国のNHS財団トラストらが5月に発表した糖尿病と肥満症患者を対象に実施したメタ解析研究によると、メンタルヘルスにも好影響を与える結果となったことを発表した。GLP-1受容体作動薬とプラセボを比較し、精神、認知機能、あるいはQOLと関連するアウトカムが報告された二重盲検プラセボ対照試験を対象に解析したところ、GLP-1受容体作動薬による治療は、プラセボと比較して、重篤な精神疾患有害事象のリスクを有意に増やすことがなく、鬱病症状の変化リスクも増やさないことが示された。さらに、抑制的摂食、情動的摂食のそれぞれ改善と関連しており、精神的健康、身体的健康、糖尿病、体重関連のQOLの改善と関連していることも示された。身体的健康の改善に加えて、精神的健康の改善にも関連していることを示唆していると指摘しており、今後ますます関心が寄せられそうだ。

 

 受理総数9.700品を超えた機能性表示食品。その内、糖や脂肪、コレステロール対策など、メタボ対策関連商品は4,000品近くを占める。コロナ以降、肥満対策として機能性表示食品の利用は拡大傾向にあり、引き続き市場は活況だ。機能性表示食品として受理している商品の表示テーマ別では、最多が「内臓脂肪」の1,247品。本紙前回調査では4位だったが、トップに急伸した。これまでトップだった「中性脂肪」は1,200品で2位に。次いで「血糖値」の1,198品、以降「BMI」1,167品、「血圧」904品と続く(※Wクレーム・トリプルクレームは重複)。伸び率でみると、「ウエスト周囲径」が18%増でトップ。「内臓脂肪」と「BMI」は共に13%増と勢いをみせる。昨年、紅麹に端を発する機能性表示食品離れから一転、企業の届出意欲も高まっていることが窺える。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1813号(2025.6.4)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら