特集【美肌】 “エビデンスベースの美肌素材”に注目
「肌」をヘルスクレームに含む機能性表示食品の受理実績が累積1,000品(撤回品を含む)の大台を超えた。増加の一途を辿る理由としては、商品形態や関与成分、表示内容が多様であることに加えて、ダブル・トリプルヘルスクレーム商品での採用が多いことがある。受理品を見ると、制度発足当初は肌ケアに特化した機能性表示が圧倒的に多かったが、今日では「快眠」「ストレス」「アイケア」「整腸」「脂肪対策」と組み合わせた機能性表示が主流となっている。関与成分はセラミド、ヒアルロン酸を筆頭に、N-アセチルグルコサミン、アスタキサンチン、乳酸菌、コラーゲンペプチド、ローヤルゼリー、GABA、フィコシアニン、プロテオグリカン、ベータカロテンまで多岐に亘る。秋ウコンエキス(ハウスウェルネスフーズ)、月桃葉抽出物(丸善製薬)など、エキスを関与成分する受理品もある。表示内容は肌の水分保持、うるおい・保湿力サポート、弾力維持から紫外線対策、肌の不快感改善まで。ブロッコリー、もやし、トマト、パイナップル、パプリカ、オレンジなど、生鮮食品の受理実績も30品に届いた。
2020年、新型コロナウイルスの拡大によるテレワークの増加、外出自粛を背景に、需要が低迷し、新商品開発・上市がストップした美容・美肌サプリメントではあるが、2021年に入り、市場環境は一変した。マスク着用の常態化、アルコール消毒の多用による肌トラブルのケア商材を求める消費行動が加速し、機能性表示食品を含め、商品開発が活発化、美肌サプリ市場は回復路線に転じた。その後、外出機会増に伴い、美容市場はV字回復。男女問わず、「自宅でできる肌トラブル対策」としてサプリメントの需要が高まった。大手サプリメーカーは、「インバウンド需要の復活は美肌サプリ市場をさらに押し上げている」「東南アジアを中心に、メイドインジャパンの美白サプリの輸出が急伸した」などとコメント。大手CDMOでは、「美肌・美容素材の取り扱い量の増加は顕著。理由として、機能性表示食品の開発において、2番手、3番手の表示として“美容”が選ばれることが多いことにある。ダイエット、ストレス、安眠、スポーツなど、多くのジャンルと親和性が強い表示である点が評価されているのでは」と分析している。
美容・美肌サプリメント市場拡大のキーワードとして、①マーケットイン戦略の加速、②体感性向上を図った商品開発、などがある。①では、プロテイン市場へのアプローチが成功モデルに。「ジョギング+紫外線対策」「筋トレ+肌荒れ・あせも対策」など、+αで美容素材が採用されるケースが増えている。「化粧品事業が軸ではあるが、親和性のある美容サプリの開発は大きなテーマ」(大手化粧品ブランド)とするように、エステ、ネイルサロン、美容クリニックなど、異業種とのコラボにも商機が見える。②では、リポソーム化など、原料加工による差別化のほか、コラーゲン、セラミド、プラセンタ、ヒアルロン酸など、他の美容素材との相乗効果研究が奏功したケースも。“大型素材とのシナジーエビデンス”による体感性と独自性の付与が商品力になる。韓国ではポピュラーな商品形態で、上部キャップに錠剤やカプセル、キャップを外した下部の飲料が一体化した「ダブルキャップ」も美容サプリ・飲料の相乗効果を引き出す新たな食べ方提案として注目されている。日本の大手コスメブランドが水面下で商品化を進めているとの情報がある。つづく
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