特集【注目の機能性キノコ】 フェムケア、認知機能などにも着目

 海外では、キノコのサプリメントや粉末をプロテインやグミ、一般食品に配合した製品が好調だ。米国では、ビーガン向けに日本のシイタケやエノキタケの粉末が肉代替品などプラントベースフード向けに使用されている。キノコ入りチョコレートも人気で、自然食品店では、1つのコーナーを形成している。低カロリーや肉に似せた食感を出す機能を利用し、日本とは異なるマーケットを形成している。また、米国健食市場ではコロナ禍の免疫賦活対策の影響で、キノコ需要の高止りが続いている。インフォーママーケッツが今年3月に開催した世界最大の健康自然食品展「ナチュラルプロダクツエキスポ」では、キノコを配合したサプリメントや健康食品の出展社が100社近く見られ、年々増加傾向になっている。同展では、ヤマブシタケを「Lion's Mane」、霊芝を「REISHI」と呼び、健康食品のトレンドにもなっているという。また、日本の原木栽培のシイタケは味と機能性が評価され「日本のシイタケしかこの機能性は出せない」と引き合いが増えているという。かつてグーグルの創業者ラリー・ペイジがハナビラタケの研究を始めようと、日本の技術者を招聘したこともあるほど、米国でのキノコ人気は計り知れない。

 

 日本の健食キノコ市場は、コロナ禍で免疫機能が注目されたのをきっかけに、米国同様安定している。健食で利用されるキノコは、霊芝・冬虫夏草・アガリクスを代表にβ-グルカン、食物繊維、ビタミンD、SODなどの有用成分を介し、古くから免疫賦活や脳機能サポート、抗糖尿作用、抗酸化作用などが利用されてきた。霊芝は、β-グルカンをはじめ、多種多様の薬効成分(トリテルペノイド類)を含有する。近年は、「女性ホルモン」「更年期」を切り口にフェムケア商材としての利用も期待される。また、「JAPAN REISHI」として米国や東南アジアでも人気が高まっている。冬虫夏草は、β-グルカンに加えコルジセピン、ナトリードが規格化されており、免疫賦活、抗炎症、認知機能サポート向けサプリメントなどに利用されている。また、霊芝同様、国内栽培も増えており、日本産の冬虫夏草として、海外展開の成否が市場拡大のカギを握る。

 

 アガリクスは、アガリクスショックから20年が経過しようとしている。各サプライヤーは、安全性試験を徹底している。免疫賦活に加え、育毛などのエビデンスの蓄積も進む。近年注目されているタモギタケとハナビラタケ、ヤマブシタケは、いずれも「幻のキノコ」と呼ばれ、美味しさと機能性に注目が集まっている。タモギタケは、エルゴチオネインを有効成分に免疫や脳機能改善、コレステロール低下等に利用が進む。特に、国産タモギダケは、供給量がタイトになり、主要サプライヤーのスリービーでは現在、増産体制を整えている。ハナビラタケは、β-グルカンによる抗糖尿作用、免疫サポートのエビデンスが蓄積されており、免疫分野で機能性表示食品受理を目指す企業もいる。また、セラミドが含有されており、美肌素材として長年利用されている。今年4月にはインタートレードヘルスケアが、ハナビラタケ由来トレハロースを関与成分に機能性表示食品が受理された。「中高年期の女性の疲労感軽減」をヘルスクレームとしており、フェムケア分野での利用が期待される。ヤマブシタケは、健食用途では、ヘリセノン成分による記憶力サポート素材として利用が拡大している。他にも、カバノアナタケやベニクスノキタケなど、かつて人気を誇ったキノコ素材もリブランディングの動きが見られる。つづく

 

 

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