連載⑮【海外ヘルスケア最前線】 米国のフェムケア市場からみるトレンド
欧米を中心に変化するヘルススケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役社長の田中啓之氏が、海外ヘルスケア市場の最新動向などを紹介する。今回のテーマは、「フェムケア(女性の健康)」。
2025年3月に米国カリフォルニアで開催された「Natural Products Expo West」では、「GLP-1」「アクティブニュートリション」「抗老化」等と並び、「フェムケア(女性の健康)」が注目トピックの一角を占めていました。かつては“ニッチ”と見なされていた更年期女性向けの栄養補助市場が、徐々に業界の主戦場に躍り出てきた格好です。特に米国市場では、更年期やPMS(月経前症候群)、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)といった女性特有の悩みにフォーカスしたサプリメントの提案が増加しています。日本市場ではお馴染みのエクオールをはじめとした植物エストロゲンや、亜鉛、鉄、マグネシウム、ビタミンB群などの女性特化型の処方が存在感を高めており、販売形態もグミやゼリー、ビューティードリンクなど、“食べやすさ、飲みやすさ”を意識した仕様が主流となりつつあります。
注目成分としては、前述のもの以外にも、アシュワガンダ、セントジョーンズワート、クレアチンなど、ストレス・認知・筋力に寄与する素材が取り上げられ、抗老化やアクティブエイジングの観点からの訴求も強まっています。研究開発の側面でも新たな潮流が見られます。欧米では“by women for women(女性による女性のための研究)”の動きが拡大し、これまで男性基準で設計されがちだった臨床試験の見直しが進行中です。女性ホルモンの周期や加齢変化を反映した試験設計が進められ、より実用性の高いデータの蓄積が期待されます。また、フェムケアは単なる“更年期対策”を超え、「女性の人生を支えるウェルネス」としての広がりを見せているように思います。特に注目されているのが、美容との融合(ビューティーフェムケア)や、睡眠・メンタル・代謝といった複合テーマとの連携です。米国大手ブランドでは「更年期×美肌」「PMS×集中力」などを掲げた多機能サプリメントの提案が進み、エビデンスベースの高価格帯商品にも支持が集まっています。つづく
詳しくは健康産業新聞1812号(2025.5.21)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら