【話題追跡】 コメ高騰で雑穀に引き合い、機能性認知広まる契機に

 自然食品専門店の聞き取りでは、「コメを家庭内で備蓄する人も多いため、1家族1袋限りで販売している」「有機栽培米の在庫確保が困難のため、新米の入荷までに在庫切れになる可能性がある」との声が寄せられた。備蓄米が放出されても値下がりの見通しが立たない中、白米の代替え需要が高まっている。とりわけ脚光を集めるのは雑穀だ。食系卸によると、「押麦、もち麦などの販売数量は昨年比で10%以上伸びている」といい、かさ増し需要や食物繊維のヘルシー感が需要を後押ししていると分析する。中食・外食分野でも雑穀を採用する機運が高まっている。コンビニではもち麦使用のおにぎりや弁当などのメニュー開発が。カフェなどの外食産業では、冷凍雑穀の採用が進んでいる。雑穀サプライヤーによると、「サラダ等の彩りとして雑穀ミックスの需要がみられはじめている」という。加工食品では、もち麦やオートミールなどのご飯バー『満腹バーシリーズ』(UHA味覚糖)が発売され、シリーズ累計600万食を突破したという。

 

 雑穀が注目される理由は、代替え需要に留まらない。雑穀を腸活に取り入れる潮流も追い風になっている。この1年は雑穀の食物繊維に関するメディア露出も相次ぎ、さらなる認知度拡大に繋がった。「カズレーザーと学ぶ」(日本テレビ)では、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 副所長の國澤純氏が「日本人特有の新やせ菌の増やし方」をテーマに出演した。「欧米型やせ菌であるアッカーマンシアを増やそうとするよりも、日本人の約9割が保有するやせ菌“ブラウディア”が太りにくい体質にする」と説明。大麦の食物繊維はブラウディア菌の餌になり、短鎖脂肪酸を作りだすことを紹介した。このほか、「あしたが変わるトリセツショー」(NHK)では、大妻女子大学の青江誠一郎教授が腸活をテーマに出演。レジスタントスターチは冷やすと増える特長があると紹介した。もち麦を冷蔵庫で冷やして食べた家庭からは「夏場でも美味しく食べられる」「便通が良くなった」とのコメントがあった。雑穀メーカーからは、「放映後は量販店向けの出荷が増えた」との声が複数寄せられた。つづく

 

 

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