ZOOM UP【アーユルヴェーダ】 アンチエイジングやフェムケアなどに応用進む

 アーユルヴェーダの理論を活用した治療・未病領域での活用が世界的に進んでいる。アーユルヴェーダは、紀元前5〜6世紀に体系化され、現代に続く世界最古の医学体系であると同時に、予防医学体系として認知される。インドでは、ヒマラヤ地方や海岸地域、砂漠、熱帯雨林の生態系において、6,600種類のハーブが確認されており、日本では研究途上にある未知の有力ハーブも多数潜在している。基本的な思想として、「薬のように食事を捉える」「植物を丸ごと使用する」などがあり、個々のライフスタイルや環境に応じて、ハーブを単味や組み合わせることで、健康管理から未病対策、治療に至るまで様々な活用実績が発展してきた。

 

 アンチエイジングに関しては、見た目だけの若さではなく、健康長寿に着目した考え方をベースとし、「食べ物や環境を通じての適用力」「エクササイズではなく日常生活に不可欠な運動力」「生きる熱意に着目した精神の働き」「抵抗力(免疫力)」「若者と同じ代謝」などに着目してQOLを良くする理論を根幹に持つ。近年は、世界的な高齢化、医薬品の副作用の問題、生活習慣病の増加などを背景に、有効な植物利用体系として活用が広まっており、安全、安価、効果的な医療としてWHO(世界保健機関)も推奨している。

 

 日本では、アムラやウコン、モリンガ、ガルシニアカンボジアなどサプリメントで用いられるアーユルヴェーダハーブや、ヨガ、サロンでの施術法などで認知度が高い。高齢社会に活かせる活用事例の豊富なアーユルヴェーダだが、各種ハーブの伝承的な使用方法に関する知識と共に、その活用・応用には、日本のライフスタイルや環境などの条件に合わせる必要がある。例えば、「牛乳と一緒に飲む」ハーブは、インドでは温かい牛乳、日本では冷たい牛乳になるほか、「入浴後に摂取する」ハーブは、インドでは朝、日本では夜になる。サロンにおけるマッサージ施術の場合、施術法の手順だけでなく、「誰に」「どの油」を「どの時間帯」で使うかを「ケースバイケースでプランニングする」ことが要求される。

 

 アーユルヴェーダ理論に精通した原料サプライヤーやメーカーでは、健康食品や化粧品の開発に様々な有望ハーブやアーユルヴェーダ理論活用製品を提案している。インドに拠点を置くサミ・サビンサグループは、アーユルヴェーダに基づき開発した食品素材および化粧品素材を100種類以上ラインアップ。世界13ヵ国を拠点に機能性原料として展開している。日本国内では、日本法人の㈱サビンサジャパンコーポレーションが、インドの伝承ハーブ植物エキスを多数揃え、供給を行っている。イチバンライフ㈱は、アーユルヴェーダの老化と不老の研究で30年以上の実績を持つ、横浜市立大学名誉教授の鮎澤大氏が2006年に立ち上げた研究成果移転型大学発ベンチャー企業。化粧品製造販売業を有し、若年層女性に多い薄毛や、美容師の手荒れ問題の深刻化などに着目して、無毒性シャンプー&トリートメントの開発にも成功しており、新シリーズ『Ayucelra(アユセラ)』を開発。フェムケアドリンクも開発中で、今秋に上市予定だ。つづく

 

 

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