【学術インタビュー】 プロポリスがアルツハイマー病モデルマウスの認知機能低下を予防
東北大学大学院薬学研究科・附属医薬品開発研究センター特任助教 稲垣 良 先生
近年、我が国は医学及び高度先進医療技術の目覚ましい進歩により世界一の長寿国となった一方で、アルツハイマー病の羅患率は増加の一途を辿っています。アルツハイマー病は、軽度から重度の認知機能障害を主症状とする疾患であり、進行状況に応じて周辺症状である徘徊・暴言・攻撃症状・鬱症状・不安症状などの精神障害の出現が報告されています。治療薬としては、「アリセプト」や「メマリー」、一昨年には「レケンビ」が新たに保険承認されて大きな注目を集めましたが、治療介入の時期が難しいことや高額な薬価など複数の課題が浮上。アルツハイマー病治療薬の治療満足度・貢献度は共に十分ではなく、患者のQOL改善やご家族の介護負担の軽減を考慮する上で、新しい作用機序を有する治療薬の開発が望まれています。
ブラジル産プロポリスは自然界においてみつ蜂により収集される天然物であり、200種類以上の天然物により構成されています。これまで、ブラジル産プロポリスには神経保護効果・抗酸化作用があることが報告されており、それらの作用に関わる活性成分として、artepillinC・caffeicacid・baccharin等が確認されています。私たちは、ブラジル産プロポリスがアルツハイマー病モデルマウスの認知機能低下に対して予防効果を示すこと、さらに記憶分子であるCa2+関連蛋白質CaMKIIの自己リン酸化を増強することを明らかにしました。日々の食生活にブラジル産プロポリスを取り入れることは、今後アルツハイマー病の有益な予防戦略となることが期待されます。つづく
詳しくは健康産業新聞1811号(2025.5.7)で
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