【話題追跡】 PFAS問題で分析機関に問い合わせ増、 健康食品メーカーへの影響は?

 食品分析検査機関に有機フッ素化合物「PFAS」に関する問い合わせが増えている。2023年頃から、各地の河川や土壌で基準値以上の PFASが検出されており、ある分析機関には昨対比倍近くの検査依頼があるという。ある食品分析機関では、水道事業者からの依頼を除いても2024年度下半期は、同年上半期と比較して1.8倍の依頼があり、健康食品メーカーからの問い合わせも増えているという。検査機関が提供する専用ボトルに、食品工場などで使う水を入れ、LC/MS/MSによるPFAS分析を行う。また、別の分析機関は、2023年度は前年比700%と大幅に増加、2024年度も130%と高止まりしているという。

 

 PFASとは有機フッ素化合物の総称。水や油をはじき、熱や酸に強いため防水用具や医療機器、電化製品など様々な工業製品に利用されてきた。土壌や水などの環境中では分解されず、発がん性や脂質代謝異常などを起こす可能性があり、先進国では使用や輸入を禁止する国も多い。環境省によるとPFASは、1万種類以上の物質が存在し、そのなかでもPFOS、PFOAが環境や健康上のリスクが高く、PFOSは2018年に、PFOAは2021年に日本での製造・輸入が禁止された。ところが、2020年頃から各地の河川や土壌で基準値以上のPFOS、PFOAが検出され日本の水質が問題視されてきた。

 

 2024年1月に岡山県加賀郡の浄水場で基準値を超えるPFOS、PFOAが検出されたと報じられた。その後、住民約700人を対象に血液検査を行った結果、平均151.5ngが血液中で検出された。この数値は、米国で健康上のリスクが高いとされる合計20ngの約7倍の成分量だ。今のところ、健康上の被害は報告されていない。しかし、岡山県に工場を構える一部の健康食品メーカーには、取引先から心配の声がいくつか寄せられたという。ある工場では、使用する水や製品をただちに分析機関に依頼をかけ、基準値以下を確認。安心して取引ができること改めて周知した。現時点で、加工食品やサプリメントから基準値以上のPFOS、PFOAが検出されたという報告はされていないが、その危険性が独り歩きし不評被害を招く恐れもある。健康食品業界でも、その動向を注視していく必要がありそうだ。つづく

 

 

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