特集【食品分析検査】 分析ニーズ増 栄養成分、 期限表示など
今回本紙が食品分析機関各社に行った取材では、「分析依頼が増加している」との声が多数聞かれた。「食品表示に関する依頼が増加」「栄養成分の依頼が多い」「ペットフードも増えている」といった声があった。工場の品質管理に関連して、専門知識を有する食品分析検査機関が検査技術指導などを行うコンサルティングサービスも活発に行われている。また、HACCP運用講習や品質管理などに関するセミナーも行われており、好評を博している。機能性表示食品は届出者が1,700を超え、参入企業の増加に伴い、機能性関与成分の分析依頼も増加している。
今回の取材では、賞味期限設定に関する依頼が増えているとの声も目立った。背景には、食品ロス削減の観点から、期限延長に向けて設定を見直す企業の存在がある。さらに、健康食品の海外展開の活発化で、「海外向けは、従来の期限では短い」とする企業から、同じく期限延長に向けた試験を行いたいというニーズがある。3月28日に「食品期限表示の設定のためのガイドライン」が策定されたことも、期限表示見直しの動きを後押ししそうだ。ガイドラインは2005年に厚労省と農水省が策定したものを、食品ロス削減の観点を含め、国際的動向に配慮し、科学的知見に基づき見直した。食品の特性等に応じ設定された期限に1未満の係数をかける「安全係数」の設定について、これまでのQ&Aでは「0.8以上を目安に設定することが望ましい」と記載していたが、新ガイドラインでは「安全係数は1に近づけること、差し引く時間や日数は0に近づけることが望ましい」とした。SDGsの流れからも、期限延長に向けた検討は、今後も進められていきそうだ。海外向けに関しては、各国のレギュ レーションに則った検査が必要で、こうした分析依頼も増えている。各国の表示制度に応じたサービスを提供する分析機関からは、ニーズの増加を受けて、「輸出に力を入れていく」「海外輸出向けに力を入れている」といった声が聞かれた。
また今回の取材では、有機フッ素化合物「PFAS」の検査に関する問い合わせが増えているとの声が複数聞かれた。環境省によると、「PFAS」は1万種以上。特に、健康への影響が懸念されている「PFOS」「PFOA」は、現在は製造・輸入等が禁止されているが、かつて様々な用途で利用され、分解されにくいため、今も環境中に残っており、河川から検出されたといったニュースが報じられている。食品工場等からは、製造に使用する水について問題がないことを確認する目的で、分析機関に検査依頼が寄せられている。「全国的に問い合わせが来ている」という分析機関もあった。環境省の水質基準逐次改正検討会は昨年12月の会合で、「PFOS」「PFOA」について、水質管理上留意すべき項目等を定める「水質管理目標設定項目」から、水道事業者等に順守義務・検査義務のある水道法の「水質基準」に引き上げ、2026年8月1日に施行する方針を示した。基準値は50ng/L。「PFAS」への関心は、今後も国内外で高まっていくことが予想される。つづく
詳しくは健康産業新聞1810号(2025.4.16)で
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