連載⑭【海外ヘルスケア最前線】 トランプ政権の関税政策、 健食業界への影響は

 欧米を中心に変化するヘルススケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役社長の田中啓之氏が、海外ヘルスケア市場の最新動向などを紹介する。

 

 連日米国トランプ新大統領による関税政策のニュースが報道されていますが、サプリメント業界への余波も顕在化しつつあります。3月に海外原料メーカーとやり取りをする中で「米国市場向けの納品を優先させたいので、日本市場向けの発送を少し遅らせて欲しい」との泣きが入りました。4月から発動予定の関税政策に対応するために前倒しで納品してしまいたいとの意図。3月に米国アナハイムで開催された「Natural Products Expo West(ナチュラル・プロダクツ・エキスポウエスト)」においてもトランプ政権下での貿易摩擦や関税の影響について議論が交わされていました。

 

 特に、カナダ、メキシコ、中国に対する高関税措置が業界に与える影響は大きいです。多くのサプリメント成分、例えばビタミン類やアミノ酸などは中国から供給されています。そして4月に入りトランプ大統領は10%の世界的な関税を発表しましたが、ビタミンA、B群、C、E、葉酸、ナイアシン、コエンザイムQ10、コリン、アミノ酸、ミネラル類、動物性または植物性由来の脂肪酸(魚油を含む)など、特定のサプリメント成分が関税の適用除外となりました。この除外措置は業界にとって安心材料となっています。Natural Products Association(NPA:米国自然製品協会)のダニエル・ファブリカント博士は、「我々の業界の懸念に対して非常に安心できる措置になった」と述べています。また、UnitedNatural Products Alliance(UNPA:米国自然製品連盟)のローレン・イスラエルセン会長も、「国民の健康維持に重要な栄養素に関しては、関税措置の対象外とするよう、政権や議会に繰り返し要請してきた。これは良いニュースだ」とコメントしています。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1810号(2025.4.16)で
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