【学術インタビュー】 脳機能にも働く5-ALA、巨大マーケット獲得の期待も

高知大学客員教授、山形大学客員教授 田中徹博士

 

 発酵法による5-ALAの生産技術の確立は、健康食品のみならず、医学、農業、畜産、水産といった幅広い業界に恩恵をもたらした。大量生産に成功したのは5-ALAの父とも称される田中徹博士。基礎研究に関する新たな論文について、話を聞いた。

 

 アルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ポリグルタミン病(ハンチントン病、脊髄小脳失調症)などの神経変性疾患の謎を解き明かす論文「RNA G-quadruplexes form scaffolds that promote neuropathological α-synuclein aggregation」が昨秋、世界最高峰の国際学術誌といわれる『Cell』に掲載されました。神経変性疾患はαシヌクレインに限らず、もともと役割のあるタンパクが変性し、神経に沈着することで神経を殺すとすることがこれまで知られてきましたが、どのように変性し沈着するかの仕組みは未解明でした。この研究はその謎を解き明かした画期的な成果といえます。

 

 具体的には、mRNAのG4構造とCaが変性に関係しており、5-ALAから生合成されるプロトポルフィリンIX(PPIX)がそのG4構造に吸着することでタンパクへの変性、沈着を防ぐことを明らかにしたのです。疾患に対する治療薬は現在、原因タンパクへの抗体薬が開発されているものの、脳への移行が低いため効果は限定的でした。さらに非常に高価なことも問題となっています。こうした中、ALAは投与で脳にも届くため、今後は有効な予防薬として巨大なマーケットを獲得するかもしれません。つづく

 

 

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