ZOOM UP【大麦】 食事摂取基準改定、高まる食物繊維摂取の重要性

 日本人の食物繊維摂取量は右肩下がりで推移している。1955年は22.5g/日だったものの、2018年は15g/日に減少。食事摂取基準の目標値と比較して約10gも少ない状況となっている。食品別でみると、穀類の減少幅が大きい。比率は44%(1955年)から20%(2018年)に減少。食物繊維の種類別では、水溶性食物繊維が6.1g/日から3.4g/日に半減している。こうした中、「便通異常症 診療ガイドライン2023」では、食物繊維の質を重視することを明記した。とりわけ発酵性食物繊維の摂取が重要としている。「食物繊維の機能性を考える上で、発酵性・難発酵性の性質を考慮することが重要だ」。こう語るのは、大妻女子大学の青江誠一郎教授。通常の食生活で摂取できる発酵性食物繊維について、押麦やオートミール(β-グルカン)、発芽玄米や全粒小麦(アラビノキシラン)、ブロッコリーやニンジン(ペクチン)、ゴボウやタマネギ(イヌリン)、ジャガイモや茹でほどいも(難消化性デンプン)、真昆布(アルギン酸塩)があると説明。「穀物は発酵性食物繊維が多く含まれている。発酵速度の 違いについても、大腸で発酵する部位(近位結腸・遠位結腸)に影響を及ぼすことがわかっている」という。

 

 大麦の機能性研究では、「血清コレステロール正常化」「食後血糖上昇抑制およびセカンドミール効果」「満腹感の持続とエネルギー摂取量の調節」「長期摂取による内臓脂肪低減」「腸内細菌叢改善」のエビデンスが蓄積されている。昨年は大麦ご飯の摂取による感染防御効果に関する論文が報告された。コメ騒動や腸活の浸透を受け、もち麦やうるち大麦商品が話題を集めている。テレビ放映では、『めざましテレビ』(フジテレビ)、『Nスタ』『ひるおび』(TBS)、『ZIP!』『news every』(日本テレビ)などで、「かさ増し」「美味しさ」「健康」をテーマに特集が組まれた。「腸活」「やせ菌」をテーマとした番組では、『カズレーザーと学ぶ』(日本テレビ)、『あさイチ』『あしたが変わるトリセツショー』(NHK)、『モーニングショー』(テレビ朝日)、『THE TIME』(TBS)、『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ)などで紹介。やせ菌については、日本人の約9割がブラウディア菌を保有しており、太りにくくする体質にするとした。大麦の食物繊維について、「直接エサにする糖化菌のみならず、リレー選手であるブラウディア菌のエサになることで短鎖脂肪酸を作り出していく」とした。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1809号(2025.4.2)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら