特集【藻類由来素材】 市場拡大のキーワードは「藻活」
米国では、スーパーモデルが美容スムージーを愛飲していることが火付け役となり、2020年以降、「SEA MOSS(海草)」「SEA WEED(海藻)」がブームに。弊社が3月に実施した「ナチュラル・プロダクツ・エキスポ・ウエスト2025(アナハイム)&米国市場調査ツアー」におけるロサンゼルス市内の小売店視察でも、サプリメント、グミ製品、飲料、ジェルなど、商品ジャンルが多様化、流通量が拡大している様子が伺えた。多くのジェル製品は、藻特有の風味をマスキングする工夫がなされている。欧米では、クロレラ、スピルリナ、アスタキサンチン、オーランチオキトリウムなどの微細藻類は、近年では、「植物性タンパク質」、「植物性DHA」「天然色素」などの点が高く評価され、機能性素材として市場形成に加えて、プラントベース素材としての利用も広がっている。今後も、海外における藻類由来素材の市場拡大が期待される。
微細藻類は、多様な栄養成分を含有することに加え、「食物連鎖の出発点」「光合成生物」であることなど、ストーリー性も大きな強み。微細藻類が生成したDHA・EPAが食物連鎖によって魚に取り込まれるのは有名な話で、食物連鎖の出発点として、大きな役割を果たしている。「微細藻類は陸上植物とほぼ同量の酸素を排出している」との分析もあり、バイオエネルギーとしての活用も含め、微細藻類の培養はSDGs対策の観点からも注目されている。健康食品市場に流通する微細藻類は、クロレラ、スピルリナ、アスタキサンチン、ユーグレナ、オーランチオキトリウム、テトラセルミス・チュイ、ナンノクロロプシス、ラビリンチュラ、ドナリエラ、コッコミクサ、パブロバ、ブルーグリーンアルジーなど、多岐に亘る。クロレラ、スピルリナ、アスタキサンチン、ドナリエラ、ユーグレナなど、歴史・実績のある素材が安定市場を築く一方で、テトラセルミス・チュイ、ラビリンチュラ、ブルーグリーンアルジーなど、「SDGS」「プラントベース」「植物性プロテイン・DHA」「栄養価」「素材のストーリー性」を強みに、近年台頭してきた素材も多い。
機能性表示食品としては、アスタキサンチン(アイケア、美容、ストレス対策)、ユーグレナ(ストレス緩和、睡眠の質改善、免疫機能の維持)、スピルリナ(肌のバリア機能)、ドナリエラ(目のピント調節の向上)、オーランチオキトリウム(記憶を助ける)などが受理されている。微細藻類の素材開発で目立つのは、「藻類由来DHA」と「フェムケア」をテーマとしたもの。前者では、オーランチオキトリウム(日健化学)、ラビリンチュラ(金秀バイオ)のほか、昨秋にはDICが微細藻類DHAの供給に着手するなど、サプライヤーが揃いつつある。プラントベース素材として、学校給食やヴィーガン食での採用など、着実に用途開拓が進んでいる。後者では、女性が必要とする天然・植物由来の栄養成分を強化した原料開発が進む。サンライフでは、ビタミンB12、葉酸、鉄を強化したクロレラ由来の独自原料『フェムグリーン』を開発、スキンケア商品ではコラーゲンやエラスチンとの組み合わせなど、独自処方によるOEM提案を進めている。つづく
詳しくは健康産業新聞1809号(2025.4.2)で
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