特集【化粧品開発最前線】 多様化・細分化進む化粧品トレンド

 経済産業省の生産動態統計によると、2024年の化粧品販売金額は1兆3,859億2,799万円(前年比6.4%増)となり、2年連続で回復基調にある。類別概要を見ると、「皮膚用化粧品」6,236億2,656万円(同9.8%増)、「頭髪用化粧品」3,692億6,705万円(同1.4%増)、「仕上用化粧品」2,872億9,425万円(同6.3%増)、「特殊用途化粧品」962億7,282万円(同5.4%増)、「香水・オーデコロン」94億6,731万円(同5.2%増)となり、全て前年比を上回った。男性皮膚用化粧品も196億3,917万円(同12.7%増)と伸長した。直近1年の市況をみると、コロナ収束を受け、マスク着用が緩和された影響から、メイクアップコスメやUVケア関連の商品提案が活発化している。メイクの市場は、韓国コスメが低価格帯ブランドを中心に市場を牽引。「@cosme TOKYO」などの体験型店舗やウエルシア薬局の新業態「HAC BIOKA店」などでZ世代を含む若年層を中心に”プチプラコスメ”として好調に推移している。

 

 生活様式の変化に伴い、化粧品ニーズの多様化、細分化が進む中、化粧品の製品開発も、シミ、シワなどを塗布して隠す製品から、皮膚の根本陽委員の解明に繋げる製品開発へと進化している。資生堂は昨年、マサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所との共同研究で、老化細胞内で活性化したヒトサイトメガロウイルスの一部(抗原)が老化細胞の表面に出現し、それを免疫細胞の一種であるCytotoxic CD4+T細胞が認識し、老化細胞を選択的に除去していることを世界で初めて発見、その研究成果は生命科学分野の学術誌『Cell』に論文掲載され、話題に。

 

 グローバルトレンドでは、地球環境に配慮した製品開発が重要視される傾向に。感情シリコーン化合物(デカメチルシクロペンタシロキサン:略称D5)を0.1%以上使用した製品の販売が禁止となっている欧州や、紫外線吸収剤に対する規制の厳しい米国など、生体内での難分解性、高蓄積性などを問題視する傾向から、自然・オーガニック化粧品市場が拡大している。原料サプライヤーからは、「大気汚染など外的ストレスからの皮膚の保護といった、地球環境の変化に着目したエビデンスを求める声がある」「UV製品開発で植物由来の要望が高まっている」などの声も。各国の規制に準じた従来成分の代替原料を求めるニーズから、SDGs対応やフェアトレード、非GMO、ノンケミカル処方、コスモス認証、自然由来指数、アップサイクル原料といった提案が定番化している。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1809号(2025.4.2)で
健康産業新聞の定期購読申込はこちら