特集【健康・美容飲料】 市場は次のフェーズへ

 起床時、運動時、飲酒前、就寝前――など、日常生活の様々なシーンで手軽に利用できる健康・美容飲料やゼリー飲料、スティックゼリー。近年は、主力のガラス瓶だけでなく、PETボトル、ブロー容器、口栓付パウチ、三方シール、Tパウチ、カート缶、チルドカップ、紙パック――など、容器形態のバリエーションが拡大している。健康・美容飲料市場を見ると、新型コロナ収束を受け、口栓付パウチ入りのゼリー飲料は、食事置き換え、スポーツシーンでの利用などが再燃し、コロナ前を上回る生産量となっている。最近では、医薬部外品など医薬系パウチゼリーの開発も活発化しており、新たな顧客を獲得している。また、主力の小瓶入り美容ドリンクは、国内のみならず、輸出案件が増えている状況。植物発酵エキスを用い た大瓶の酵素飲料なども安定した動きを示している。加えて、最近は三方シール入りのスティックゼリーの需要が高まっている。

 

 富士経済の調査によると、果実野菜系飲料や乳酸菌飲料類などを含むウエルネス飲料の市場規模は、2024年2,659億円(前年比6.1%増)となっており、2025年も2,720億円(同8.6%増)と成長が見込まれ、GABAや乳酸菌、鉄分などを注目原料に挙げている。機能性表示食品を受理した飲料製品では、茶系飲料や野菜飲料、酢飲料などが市場を牽引。乳酸菌を機能性関与成分とした免疫系や整腸系、GABAを関与成分とした快眠系や抗疲労系、抗ストレス系、コラーゲンペプチドやグルコシルセラミド、アスタキサンチン、プロテオグリカンなどを関与成分とした美肌系やエイジングケア系などの受理も増加している。清涼飲料水のカテゴリーで機能性表示食品に受理された製品は、3月11日時点で1,185品(撤回除く)。昨年同時期より340品増加した。姉妹紙「健康産業速報」が2024年にプレスリリースされた新製品を分析した調査でも、機能性表示食品の剤形別で、「飲料」はトップとなっている。機能性表示食品に使用できる飲料素材も年々増加しており、太陽化学や横浜油脂工業が独自素材の提案を強化している。

 

 本紙編集部が今年 2月中旬〜 3月初旬に掛けて、健康・美容飲料およびゼリー飲料等の受託製造実績のある企業を対象に実施した取材およびアンケート調査(有効回答37社)でも、「機能性表示食品の受注実績がある」と回答した企業は51.4%で、機能性表示食品制度が「健康・美容飲料市場の拡大に繋がる」との回答も51.5%となっている 健康・美容飲料の受託製造企業の業況を見ると、2024年度の経営状況について「良かった」との回答は、昨年調査より2.7ポイント減の37.8%。増収達成企業は同8.8ポイント減の54.2%となり、市場は 4年連続のV字回復には至らなかったもようだ。「良かった」と回答した企業からは、「新規の大型案件が牽引」「パウチゼリーの既存品が好調」「新規案件増加と既存品の販売好調」「価格改定による利益率の改善」などのコメントが見られた。一方で、原材料や資材、人件費、エネルギーコストなどの高騰で、利益が圧迫されているといった回答、中国経済低迷で中国向け製品の売上激減などの声も聞かれた。つづく

 

 

詳しくは健康産業新聞1808号(2025.3.19)で
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