特集【サケ由来機能性素材】 核酸やPG、プラセンタが市場を牽引
健食および化粧品用途では、主にサケの未利用部位を原材料とし、各社の独自技術により、機能性素材として開発している。サケの身にはアミノ酸、プロテイン、アスタキサンチン、ビタミンD、アンセリン、皮にはコラーゲン、鼻軟骨には、プロテオグリカン(PG)、コンドロイチン、Ⅱ型コラーゲン、白子には核酸、プロタミン、卵巣膜にはプラセンタ様物質など、部位ごとに健食・化粧品で原料に使用できる成分が豊富に含まれている。SDGsの観点からも、未利用資源を利用するサケ由来機能性素材は注目されている。なかでもここ数年はプロテオグリカン(PG)の人気が高い。PGは、サケの鼻軟骨に含まれるタンパク質と糖鎖が結合した複合糖質の 1つ。ヒトの軟骨や皮膚にも存在し、コラーゲン、ヒアルロン酸の促進・産生作用を有し、肌のシワ、保湿、関節サポート分野で利用が進んでいる。サケの水揚げ地域である北海道や青森県で研究開発が活発化している。青森県では弘前大、あおもりPG推進協議会と民間メーカーが産学連携によりPGの機能性研究および用途提案を推進。2023年9月末までPG推進協議会加入企業全108社の累計製造出荷額は500億円を突破した。
北海道では、サケ由来機能性素材の老舗サプライヤーである日本バリアフリーが、『マリンプロテオグリカン®』のブランドでPG原料を展開するほか、卵巣膜由来の独自原料『マリンプラセンタ®』を長年に亘り展開している。また、リナイスでは非変性PGと非変性Ⅱ型&Ⅺ型コラーゲンのミックス素材『SCPコンプレックス-LS』等を展開。ヒト試験データも有し、機能性表示食品にも対応する。今年からはサケのエラ部分からエラスチンおよびコラーゲンを抽出し、酵素処理により加水分解して製品化した新原料『サーモンエラスチン-LS』の供給も開始した。日生バイオでは、北海道大学と共同で、白子由来のヌクレオプロテインやオリゴDNA等の核酸研究を行う。ヌクイレオプロテインは、更年期障害や疲労サポートなどのサプリに利用が進んでいる。オリゴDNAは11月の「ホンマでっかTV」でサケ由来の美容成分として紹介されたことで、引き合いが増えているという。核酸(DNA)は、サケの白子に含まれる機能性素材。基礎代謝やエネルギー産生に関わる成分としてビタミン、ミネラルに並ぶ「第7の栄養素」と呼ばれ、PGと並ぶ市場を形成している。
最終製品は、ドラッグストアや通販などのオープンマーケットからMLM、訪問販売、医家向けまで多岐に亘る。PGは、通販やドラッグストアなどオープンマーケットで流通が進む。PGを関与成分とする機能性表示食品は166品(2024年12月現在)。前年同期比130%で推移している。「関節軟骨の保護」「膝関節の違和感を軽減」「肌弾力を維持」などのヘルスクレームで高齢者向けにロコモやフレイル対策サプリとして安定的な売れ行きを維持している。ダイドードリンコは、通販ルートで『ロコモプロ』が2013年発売以来累計800万袋を出荷。同社ヘルスケアオンラインショップでも売り上げを牽引しているという。また、八幡物産の『国産プロテオグリカン』やマルマンH&Bの『ひざ元気』は、通販やドラッグストアで中高年層から安定した売り上げを維持している。定期購入者が多いだけに、紅麹問題による影響を減らすべく積極的なプロモーションが功を奏したようだ。そのほか、ディーエイチシー、ファンケルなどは関節サポートサプリメントとして販売するなど比較的大手通販による市場形成が進んでいる。
核酸は、MLMなどクローズドマーケットでの販売を主戦場とする。高価格帯であり多岐に亘る機能性であることから、説明製品として地道な活動により愛用者を増やしている。フォーデイスは、核酸ドリンク『ナチュラルDNコラーゲン』が12月で累計販売数7,000万本を超えたと発表。12月10日の全国大会で和田社長は、「発売から25年を経て、核酸に加えプロテオグリカンを配合した11回目のリニューアルを行う」と発表した。中堅のMLM企業であるヒストリーメーカージャパンでは、会員向けに核酸の機能性について勉強会などを開催。核酸サプリ『セルクレスト』は派手なプロモーションは行っていないが、地道な販売活動が実りここ数年、安定的な販売数を堅持しているという。つづく
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