【化粧品受託製造】 調査データ解説②(一部抜粋)
【メンズコスメの受注状況】 化粧男子は増加も、メンズコスメの成長には懐疑的な声も
メンズコスメの受注状況について聞いた調査では、前年調査と比較して「受注が増えている」との回答は、1.2ポイント減の21.6%だった。受注が増えているアイテム(複数回答)は、スキンケアが22票で最も多く、ヘアケアが17票、メイクアップが7票だった。メンズコスメ市場の今後について、5割以上が「市場は拡大する」と回答。主な理由は、「若年男性の多くが化粧をしている」「引き合いが増えている」スキンケアが一般化してきた」「男性層の美意識の高まり」などのコメントが見られた。一方で、「市場は拡大しない」「どちらとも言えない」と回答した企業からは、「男性用であることの意識が希薄」「ユニセックス化」「ジェンダーレス化が進む」などのコメントが多くみられた。
【フェムテック/フェムケア化粧品の受注状況】 デリケートゾーン一辺倒、処方展開に限界の声も
フェムテック/フェムケア化粧品の受注状況を聞いた調査では、前年調査と比較して「受注が増えている」との回答は11.1ポイント減の19.0%だった。受注が増えているアイテム(複数回答)では、デリケートゾーンケアが26票で最も多く、次いでスキンケア6票、ヘアケア6票となった。フェムテック/フェムケア化粧品市場の今後について、「市場は拡大する」との回答は前年調査より13.8ポイント減の42.6%。主な理由は、「必要性が認識され始めた」「問い合わせや引き合いが増えている」「参入企業が増加している」「メディアでも取り上げられ始めている」「展示会等でフェムケアエリアを設けるケースが増えている」などの回答が見られた。一方で、「市場は拡大しない」「どちらとも言えない」と回答した企業からは、「言葉が独り歩きしているだけで、実体を伴っていない」「デリケートゾーン一辺倒すぎる」「化粧品と医薬品の線引きが曖昧」「現行法の下、化粧品では処方展開の限界がある」などの回答が見られた。
【海外取引状況】 8割が「実績あり」、ASEAN地域で伸び
輸出向け・海外企業からの受託実績を聞いた調査では、「実績あり」との回答は、前年調査より2.8ポイント増の79.3%となった。受注の多い国(複数回答)については、今回も中国(香港含む)が66票でトップを維持。次いで台湾(41票)、米国(26票)、韓国(22票)、ベトナム(22票)、タイ(18票)が続いた。例年は中国が断トツだったが、今回の調査では2位の台湾との差が大幅に縮まっている。アルプス処理水に伴う影響については、「悪影響が続いている」との回答は、昨年調査より23.2ポイント減の17.3%にとどまっており、むしろ中国輸出に関する法律の変更、中国経済の低迷などが、中国輸出熱を下げる要因になっているもようだ。24年下期の輸出向け・海外企業からの受注状況について、前年同時期より「受注が増えている」との回答は昨年調査より4.2ポイント増の24.5%。「コロナ収束で海外輸出が再開した」「ベトナムへの輸出が伸びている」「輸出を想定した処方開発依頼の増加」などのコメントが見られた。
【工場の人手/ロボット導入状況】 8割が人手不足、ロボット導入は1割
工場の人手について、「人手不足」「やや人手不足」との回答は、昨年調査より1.4ポイント増の80.9%。慢性的な人手不足が深刻化している。対応策では、「工場のライン自動化や省力化」「パートの時給アップ」「外国人労働者の雇用」「正社員雇用の推進」「従業員の福利厚生の充実化」などの回答が見られた。ただ、今回の取材でも、「時給アップももはや限界」「時給をアップしても人が集まらない」などの切実な声が多く聞かれた。一方で、製造ロボットについては、「既に導入している」との回答が、昨年調査より1.1ポイント増の12.5%。「検討している」を合わせて44.9%だった。多品種・少量生産が主となる受託製造という業態では、大手企業であっても一部のライン自動化、省力化が限界でフルオートメーションはなかなか難しいもようだ。
【SDGsへの対応状況】 約8割が対応に前向き、第三者機関に評価受ける企業も
SDGs(持続可能な開発目標)に関し、「既に取り組みをしている」との回答は46.5%。「検討はしている」(31.6%)を合わせると、約8割が対応に前向きであることがうかがえる。具体的な取組内容については、「工場への太陽光発電システムの導入」「リサイクル容器・FSC認証パッケージ採用」「地域資源プロジェクトに参画」「アップサイクル原料の利用」「脱プラへの取り組み」「バイオマス容器の使用」「Co2排出規制」「ゴミの分別・リサイクル」など、地球環境に対するコメントが多く、なかには「女性従業員の要職を増やす」「働きやすい環境整備」「社員教育の充実」などのコメントも見られた。また、SDGsに対する取り組みを第三者機関から評価を受けることができる「ISO14001」認証の取得や、「Sedex」「Ecovadis」等の世界的プラットホームへの参画、持続可能なパーム油のための円卓会議「RSPO」認証の取得、女性が活躍できる職場環境、子育て支援に積極的な企業を厚労省が認証する「えるぼし」や「くるみん」認証などを取得する企業も見られた。
つづく
詳しくは健康産業新聞1802号(2024.12.18)で
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