特集【CBD】 10月の改正法施行に向け、各社粛々と準備

 CBD(カンナビジオール)を配合した健康食品や化粧品は、2013年頃から日本市場に登場し、2018年頃から流通が本格化した。CBDは、大麻草から抽出されるカンナビノイドと呼ばれる天然化合物の1つ。これまでに、抗炎症作用や睡眠の質向上、リラックス効果、整腸作用―― など、様々な機能性が国内外で報告されている。大麻草には、100種類以上のカンナビノイドが存在し、CBDとTHC(テトラ・ヒドロ・カンナビノール)を筆頭にCBG、CBNなどを含有する。これら有効な成分は、花穂、葉に多く、茎、根、種子にも微量に含まれている。

 

 CBDの作用機序は、生体内CBD2受容体に結合し、健康機能を促進させる。THCは、CBD1、2両受容体に結合し、神経作用を発現させる。THCの長期摂取により、記憶や認知に障害を及ぼし、精神障害などの健康被害を生じる可能性があるとされている。このTHCが危険成分とされ、国内ではTHCを完全に除去したCBD製品以外の流通は禁止されている。同成分規制が10年以上にわたり、大麻産業の成長を阻んでいることから、業界や国は法改正に取り組んできた。日本では、1948年に設定された大麻取締法により、CBD製品にTHCが僅かでも含まれていれば違法となる。一方、THCやCBDの研究は各国で行われ、有用性が医学会や産業界で公表されている。

 

 こうした中、政府では①大麻草の医療利用、②部位規制が効率的でない、③国内の麻文化を継承していくことを理由に法改正も視野に入れ、2021年より「大麻等の薬物対策のあり方検討会」を開始。8回にわたり議論を重ね、昨年12月、75年ぶりに大麻取締法の一部を改正し、今年10月の施行を発表した。今年5月には政令案を出し、パブリックコメントを募集。ところが、政令案に記されたTHC基準値は、オイル品で10ppm、飲食品で0.1ppm(飲料の場合、100mL中に0.01mgの含有量)、それ以外(原料など)では1ppmと、予想以上に厳しく、反対意見を表明する関係者も多く見られた。

 

 取材先からは、「1 ppmではテルペンなど他の成分も除去することになり、アントラージュ効果など、CBDの良さが薄れてしまう」「原料で1 ppmでも熱を加えたらTHCに変換され、基準値以上検出する恐れがある」などの声が聞かれた。厚労省の担当者は、「ドリンクなど長期間、相当量を摂取する場合を想定し、健康を害さない基準は必要」とコメント。一方で、想定以上のパブコメを受けたことから現在、意見の精査に追われているようだ。実際、7月の政令公布予定が、8 月15日現在も公布されていない。こうした中、6 月にはCBD事業者が数十社集まり、「全国大麻商工業協議会」を設立。大麻利用産業におけるビジネスの健全な成長や、行政に対して情報提供や提言を行うことを主な目的に、活動を開始した。同協議会代表理事の須藤晃通氏は本紙の取材に対し、「政令案通りの基準値が公布されても従うが、提言はしていく」とコメントした。つづく

 

 

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