ZOOM UP【海外進出サポート】 グローバル市場へのシフト進む

 海外展開の強化や海外市場の参入などにおける事業戦略を打ち出す事業者が増えている。本紙が6月に実施した健康食品受託製造企業を対象とした定期調査では、63.6%が「海外向け(越境ECを含む)受託を行っている」と回答。「計画中」(5.3%)を合わせると7割近くに及ぶ。主な供給先の国・地域は、「中国」「台湾」「ベトナム」が50票を集め、上位を占めた。貿易統計による今年上期におけるビタミン・ミネラルなどの「栄養補助食品」の輸出額トップは、中国でダントツの59億6,428万円(前年同期比27.8 %減)だった。2位が台湾で16億9,101万円(同20.2%減)、3位がベトナムで12億円3,686万円(同16.8%増)と続く。

 

 中国の輸出額の減少は、昨夏以降から続くALPS処理水問題の影響に加え、若い世代を中心に自国ブランドを推奨する国潮ブームが盛り上がったほか、中国国内の景気悪化が重なったことも大きい。ただ、今回取材を行った海外進出サポート企業の担当者からは、「今年に入り、中国輸出が回復し始めている」「購買意欲の高い若者向けの美容ドリンクの開発が進んでいる」などの声が聞かれたほか、「日本製品を扱えない状況が長引き、現地ビジネスにも影響が出ている」といったコメントもあった。中国進出のサポート事業を手掛ける明澤健康研究所は、「中国越境ECをはじめとした相談依頼は多い」と話す。越境ECでは、KOL(Key Opinion Leader)が商品を販売するライブコマースが主流。日本在住のKOLによるライブコマースも広がっている。

 

 アジアの中で所得が高く、親日国の台湾も人気だ。台湾市場での販売実績を積むことで、中華圏を通じた東南アジアへの展開も視野に入れることができる。一方で、台湾でも紅麹問題による影響は少なくなく、2004年から台北に現地法人を置くライフェンスでは、「これまで以上に、日本製品であっても安全性、品質の確保が求められる」と強調する。高い経済成長率を維持するベトナムには、健康食品業界も注視している。日本貿易振興機構が実施したベトナムの健康食品調査報告によると、成人が健康食品に期待する効果は、「免疫力強化」「栄養補給」「デトックス」などが多く、「年齢、性別によって期待する効果が異なる」としている。原産国の認知度では、「日本」は「オーストラリア」に次いで2位。理由を聞いたところ、回答者の多くが、「日本製サプリメントは品質が高く、製造・検査工程が厳格/安全である」と評価していた。つづく

 

 

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