連載⑤【海外ヘルスケア最前線】 定番成分への回帰 マグネシウム、鉄などが再注目
欧米を中心としたヘルスケアビジネスに携わり、健康食品事業を手掛けるOctroll㈱・代表取締役社長の田中啓之氏が、変化する海外ヘルススケア市場の動向などを紹介する。第5回目のテーマは、「コロナ禍による原料トレンド変化」。
北米の現地パートナーと打合せなどをする中で、現場感のある海外トレンドに触れることが多々あります。先日の打合せの中で出てきた原料トレンドとしてマグネシウムが挙げられます。「ん?いまさらマグネシウム?」と思ったものの、コロナ禍を契機に安眠やストレス対策としてマグネシウムに注目が集まっているようです。このトレンドは若者中心で、TikTokではマグネシウムのハッシュタグ#が10億回以上使われており、サプリメント形態のみならず、飲料などカジュアルに摂取できる商品展開も好評なようです。
調査会社であるSPINSが公表したレポートでは、サプリメント領域でのマグネシウム関連商品の2023年・市場規模は3億2,200万ドル(成長率44.5%増)、飲料領域で900万ドル(同130%増)、と市場は拡大基調にあります。マグネシウムの中でも、特に注目を集めているのが、グリシン酸マグネシウムで、成長率は125%増と、他のマグネシウムと比較して抜きん出ています。北米では大半の消費者が、マグネシウムの1日推奨摂取量の半分程度しか摂取できていないと言われており、このトレンドに拍車が掛かっているようです。
こうした一般的な成分という意味では、鉄分なども注目されています。女性・子供の鉄分不足を背景に、鉄分サプリへの注目度は、日本市場でも高いですが、欧米でも同様の傾向にあります。北欧スウェーデンに本拠を置くスタートアップ企業 Ironic Biotech社などは、約90%と高い生体利用効率を誇る鉄分を、精密発酵技術を利用して開発。直近で100万ユーロ(約1億6,500万円)の調達を行ったと発表しています。つづく
詳しくは健康産業新聞1794号(2024.8.21)で
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