特別企画①【ロコモティブシンドローム対策】 アクティブシニアが底支え、成長カテゴリーに
我が国の総人口に占める高齢者人口の割合は3割弱を占め、海外と比較してもその割合は最も高い。健康寿命延伸を達成する上で、ロコモ対策は欠かせない。行政や自治体では、様々なロコモ対策に取り組んでいる。近年は、栄養面の観点からロコモ、サルコペニア、フレイルなどに関する研究が進展。国立長寿医療研究センターが発刊した「健康長寿教室テキスト第2版」では、ロコモ、フレイル、サルコペニアに関する基本的概念に加え、フレイル予防に大切な栄養素としてビタミンD、カルシウム、分岐鎖アミノ酸、HMBなどを紹介している。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、「生活習慣病および生活機能の維持向上に係る疾患等とエネルギー栄養素との関連」の項目に、予防の観点から「骨粗鬆症」が追加される見込み。
昨年10月には厚労省が、「健康寿命を伸ばそう!」をスローガンとしたスマート・ライフ・プロジェクトの一環として、特設ウェブコンテンツ「毎日かんたん!ロコモ予防」を公開。ロコモを防ぐ「ロコトレ」などを紹介している。ロコモ対策における意識は高齢者を中心に浸透しており、運動器の健康・日本協会が昨春に実施した定期調査(20~60代以上の男女1万人を対象)で、ロコモの認知は男女50代以上で48.8%に。男性70歳以上が54.4%、女性60~69歳が55.6%、70歳以上が62.1%だった。フレイルも民間調査で認知が4割超という報告もあり、関心の高さがうかがえる。業界団体等では、6月5日を「ロコモ予防の日」、2月1日を「フレイルの日」と制定、認知向上に向けた普及活動を行っている。
適度な運動とバランスの摂れた食事と共に、健康食品の役割に期待が高まる中、サプリメント・飲料・健康志向食品の製品開発は活発だ。本紙が今年6月に実施した健食受託企業調査でも、「受注件数が伸びている商品カテゴリー」で、「ロコモ対策」は前年調査から5ポイント増え5位にランクインした。機能性表示食品では、「関節」「骨」「筋力」「歩行能力の維持」分野の受理件数がこの1年で100品以上が受理された。機能性関与成分では、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、N-アセチルグルコサミンなどの利用が多かった。ウコンエキスやクルクミン類、タマリンド由来プロアントシアニジン、筋骨草由来20-ヒドロキシエクジソンなど、新規性の高い機能性関与成分を用いた受理も進む。
「筋肉」分野では、「日常的な運動と併用することで、年齢とともに低下する筋肉量及び握る力を維持する」旨を謳えるヘルスクレームも登場した。機能性表示食品以外にも、実績豊富な実力素材から新規素材までバラエティに富んだロコモ対策サポート素材が流通する。各社、「体感性」に加え、「臨床試験データ」「コストメリット(少量での効果)」「海外での利用実績」「国産素材」「植物由来」などを差別化に提案を進める。つづく
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