【2024年上期総括と下期展望】 紅麹問題、健食業界に影響

 物価上昇や収入の伸び悩みによって節約志向が強まる中、2023年の家計調査結果では、総世帯の健康食品支出は前年比4%増と伸びた。本紙調査では、23年の健食市場規模は前年比2%増で1.3兆円を突破。コロナ騒動から脱却し、成長軌道に乗る中、3月末に起きた小林製薬の紅麹問題によって、市場は影響を受けた。通販では、紅麹以外の商品で定期顧客の離脱が発生。DgSでは好調だった健康食品販売がマイナスに転じた。本紙受託調査では、57%が紅麹問題による影響を受けたと回答した。

 

 こうした中で本紙では、下半期の関心事を聞く読者参加型の総選挙を実施。その結果、「機能性表示食品制度の見直し」が断トツとなった。規制関連が目立つ中で、「糖化」「乳酸菌」「オートファジー」「機能性グミ」など、市場活性化が期待できるキーワードも復数票を獲得した。こうしたトレンドも把握しながら、これまでと同様に消費者の健康志向に応えていくことで、紅麹問題を跳ね返し、市場がさらに成長することが期待されている。

 

 今回の紅麹問題では、紅麹とは全く関係ない商品の定期離脱が起きた。一部メディアの過激なバッシングもあり、「麹」と付く商品にも影響は及んだ。業界は過去にも数々のバッシングでダメージを受けてきたが、その都度回復し、1.3兆円という巨大な産業に成長した経緯がある。背景にあるのは、揺るがぬ消費者の健康志向である。この健康志向に地道に応えていくことが、再成長に向けた確実な道のりだ。そのためには、業界団体による建設的なメッセージの発信も重要である。

 

 健康の悩みは幅広い。本紙総選挙でトップとなった「機能性表示食品制度の見直し」は、制度の信頼性を高めるためのものでもある。今も企業間では、新成分や新表示に向けた取り組みは盛んに行われている。消費者に直接情報提供が可能な制度を活用しつつ、総選挙で示されたようなキーワードで市場を活性化していくことで、国内にとどまらず海外の健康志向にも対応し、業界と消費者がwin-winの健全な市場が拡大していくことが期待されている。つづく

 

 

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