特集【胃腸サポート食品】 「胃の不調」、2人に1人以上 食品の活用進む

 胃の働きをサポートする食品素材は、霊芝、カバノアナタケといったキノコ類や、ガジュツ、梅肉、フコイダン、マヌカハニー、アロエ、ヨモギなど、伝承的に利用されきたものが多い。日産化学は、国産霊芝を使用したサプリメント「日産霊芝®」シリーズを国内外で展開している。ピロリ菌に着目した提案も目立つ。ピロリ菌は胃の粘膜に生息する細菌で、胃炎などの疾病に深く関与している。慢性的な炎症によって、十二指腸潰瘍や、胃潰瘍、胃がんなどを引き起こすともいわれる。中国をはじめ、アジア地域は胃がんの発症率が高く、海外での注目度も上昇している。スノーデンは、胃に特異的に作用する乳酸菌原料『乳酸菌LJ88』を供給。“胃に味方する乳酸菌”として提案を進める。アオテアロアは、IgG抗体含有濃縮乳清タンパク『ミルキーパワー』を供給。ピロリ菌に対する抗体を含み、原料・OEM供給に対応する。

 

 機能性表示食品では、ヤクルト本社が「食後の胃の負担をやわらげる」乳製品乳酸菌飲料(機能性関与成分:B.ビフィダムY株)を展開。また、明治が「LG21乳酸菌」を機能性関与成分に、「一時的な胃の負担をやわらげる」ヨーグルトやドリンクを販売している。昨夏には、ウェザーニューズと共同で「胃の負担指数」を可視化したシステムを開発。「ウェザーニュースLiVE」で定期配信を行っており、LG21乳酸菌の認知向上に繋がっているという。購入者層は50代以上が多く、「“胃の負担(不快感)”は、世代を問わない健康課題。若年層へのアプローチも強化していく」と話す。

 

 海外では、消化系の健康を意味する“digestive health”や、“gut health(腸の健康)”が健康カテゴリーの1つとして定着している。国内でも腸の健康に対する関心は高く、2月に開催された「健康博覧会2024」の来場登録アンケートでは、関心が高い項目で「腸内環境」は、「睡眠」に続く2位だった。機能性研究も盛んで、腸の健康維持、便通改善、免疫維持などのほか、脳腸相関に関する研究が進み、認知機能や睡眠、ストレスなどに関わる健康効果も明らかになっている。市場では、乳酸菌やビフィズス菌を筆頭に、オリゴ糖、酵素、食物繊維、イヌリンをはじめ、多数の機能性素材が流通する。

 

 三菱ケミカルグループは、機能性表示食品対応素材の有胞子性乳酸菌『ラクリス™』を供給。受理実績は100品を超える。少量添加が可能で、グミや粉末飲料などにも採用が進む。フィブロ製薬は、「サイリウム種皮由来食物繊維」を供給。乳酸菌と組み合わせるとシナジー効果が期待できる。発酵素材では、北海道に拠点を置くケルプ研究所が、植物エキス発酵飲料の製造・販売を手掛ける。ヒト試験でビフィズス菌の増殖作用を確認しており、整腸効果が期待できる。酵素飲料を通販で販売する言歩木は、独自素材「山野草醗酵酵素」に、6種のヒト由来乳酸菌と水溶性食物繊維を配合したサプリメントを販売する。ヒト試験で新たなエビデンスデータを蓄積。今秋にリニューアル品を上市する。ヤヱガキ醗酵技研は、酵素含有穀物麹『多穀麹®』、酒粕発酵物『プロファイバー®』を供給。『プロファイバー®』は、胃腸で消化されにくいレジスタントプロテインや食物繊維を豊富に含む。未利用資源を有効活用した国産のアップサイクル食品として海外からの引き合いもあるという。つづく

 

 

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